2022 Fiscal Year Research-status Report
軟弱地盤における地中熱利用時の地盤工学的課題に関する検討
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22K04321
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
木元 小百合 大阪産業大学, 工学部, 教授 (70362457)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地中熱 / 帯水層 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギーの一つである地中熱は年中安定的に利用できるため、有効に利用すれば省エネに大きく貢献できる可能性がある。我が国で地中熱利用を促進するためには、都市の軟弱地盤に適した利用法を確立することが重要であるが、地盤工学的な観点からの研究は十分になされていない。本研究では、大規模施設での導入が期待される杭基礎形式と帯水層蓄熱方式について、流体-地盤-構造物系の熱力学挙動を数値解析により検討し、地盤工学的課題を抽出し整理する。 初年度である本年度は、JR大阪駅グランフロント大阪の帯水層蓄熱方式の実施事例を参考にし,三次元浸透-変形連成解析を用いて地中熱利用時の地盤変形挙動について考察した。用いた解析手法は有限変形理論に基づく水-土連成解析有限要素法である。地盤の構成式には内部構造変化を考慮した弾粘塑性構成式を用いており,正規圧密および過圧密粘土の自然堆積状態における挙動を表現することができる。 解析モデルと各層の材料パラメータは、,大阪駅新北ビル施工時の大規模掘削解析に用いられたものを使用した。解析は揚水対象層と揚水条件を変えて6 ケース実施した。本検討では,揚水・還水は砂礫層内の間隙水圧(鉛直方向に2節点)を所定の量だけ減圧・増圧することで模擬した。各ケースの間隙水圧,平均有効応力,体積ひずみの分布、地表面沈下量などを比較し考察した。。その結果、第二洪積砂礫層(Dg2)層を熱源井とする場合は沖積粘性土層(Ac 層)の間隙水圧変化は小さく,変形量も最大で0.5cm 程度となった。また第一洪積砂礫層(Dg1 層)で揚水する場合でも揚水圧力30kPa(水位変動3m 程度)であればAc層の有効応力変化は10kPa 以下であり地表面沈下量は小さい結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
帯水層蓄熱利用時の地盤変形挙動について実証試験の再現解析を行い、妥当な結果を得るとともに、揚水条件を変更した場合の影響について考察した。おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
杭基礎形式(エネルギーパイル)については、まず解析手法を確立し地中熱利用時の基本的な力学挙動について検証する。また、大阪府内の地中熱利用候補地を抽出し、杭基礎形式と帯水層蓄熱方式について、熱利用効率、地盤変形の観点から比較する。
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Causes of Carryover |
物品費の支出が予定よりも少なかった。次年度の消耗品等の購入に充てる。
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