2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04333
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
神野 有生 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30583760)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 写真測量 / 河道 / UAV / 撮影戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
河道のUAV写真測量(ドローンで撮った多数枚の写真を解析して、地表の形状を測る技術)において、できるだけ少数の写真で精度を確保できる撮影戦略の設計のため、本年度は、①陸地を対象とした最適撮影戦略を用いたUAV写真測量の現地実験(実際にドローンを飛ばして撮影し、撮った写真を解析して複数地点の座標を推定して、実測した座標と比較することによって精度を評価する実験)と、②陸部と冠水部(水に覆われた部分:水底)を含む河道を対象とした最適撮影戦略の具体的設計および現地実験、を実施した。 ①については、撮影位置ごとにカメラの向きを工夫した3つの撮影方法の有効性を、正方形の平坦地を対象とする現地実験により実証した。具体的には、新しい方法は、従来の代表的方法と比べ、同じ撮影枚数でより優れた精度を与えた。 ②については、河道の両岸に沿った2つのコース上を飛びながら対岸向きにカメラを20°傾けて撮影する戦略を設計し、現地実験で検証した。この方法はUAVが飛行する必要のあるコースが2コースのみであることから、効率性に優れている。また、理論的に写真に写る領域が、対岸側の写真のそれと十分に重なるように、かつ対岸側から撮った写真と適度な向きの差が出来るように、カメラの向きを調整したものである(これらの条件は、写真測量の解析が成功するために重要な条件である)。この撮影戦略を用いた河道における現地実験によって、陸部について十分な精度が得られることが実証された。 今後の課題は、②についてより多くの現地実験を重ねるとともに、冠水部の精度の検証も行うこと、適宜数値シミュレーションを取り入れつつ、様々な河川に適用できるよう、撮影戦略をさらに洗練させることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した目的に向けて、初年度から順調に多くの成果が得られたと判断している。 交付申請書に記載した研究実施計画と比較すると、陸部・冠水部ともに、数値シミュレーションによる実験よりも現地実験が先行した形となっている。これは、検討の過程で判断した結果であるが、今後、撮影戦略の最適化の目的で、数値シミュレーションを適宜取り入れる所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
陸部に関しては正方形の平坦地を対象とした3つの撮影方法について、有効性を実証できたところである。今後はより実用的な成果を目指し、任意の形状・地形の対象領域について、適切な撮影ができるような撮影戦略の検討にまで踏み込み(これには数値シミュレーションの利用が必要となる)、それを最終的に冠水部を含む河道に応用したいと考えている。 設計した戦略の有効性を実証するための、河道における現地実験については、冠水部の精度の検証も組み込む予定である。 これらによって、交付申請書に記載した目的を達することができる見込みである。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由として、現地実験に用いるスタティック測位機能付き対空標識について、購入せずにレンタルで済ませたことが挙げられる。レンタルで済ませることで費用を押さえつつ計画より多くの数を使用することができたため、適切な判断であったと考えている。 次年度使用額は、今後の現地実験にかかる諸経費に充てる計画である。
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