2023 Fiscal Year Research-status Report
凍結・融解過程における不飽和土壌の熱・水分移動および変形モデルの構築
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22K04343
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
高野 保英 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80330231)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 土壌凍結 / 体積ひずみ / 不凍水曲線 / 吸引圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,(1)X線CT装置およびDVC解析を用いた上方から土壌凍結に伴う変形計測,(2)凍結土壌の吸引圧測定実験,(3)融解過程における定常時の不凍水曲線の同定を実施した. (1)については,真砂土を用いて体積含水率を変えた5ケースについて凍結実験を行い,上方から凍結する場合の土壌内部の移動量および体積ひずみの三次元分布の計測を実施した.計測ではこれまでのDVC解析のみならず,土壌内に散布したジルコニア球の重心位置の移動量から凍結に伴う移動量も計測し,DVC解析結果との比較も試みた.その結果DVC解析により移動量と体積ひずみの時間的な計測に成功し,解析モデルの構築と検証に必要な基礎データを得るとともに,ジルコニア球の移動量ともほぼ一致することが確認できた.さらに体積含水率と凍上に伴う情報への移動量の関係を得た. (2)については,凍結土壌の吸引圧測定装置を設計・製作し,重力排水させた珪砂を上方凍結させ,土壌内温度と土壌底部での吸引圧の変化の計測を実施した.凍結開始直後に吸引圧の低下が見られたものの,凍結の進行に伴い土壌内の圧力が急上昇し,厳密な吸引圧の測定が困難となった.この原因は土壌凍結により大気との空隙の連結が閉ざされ,凍結面下部の空隙の圧力が上昇したためと考えられ,今後装置を改良し,吸引圧のみならず土壌空隙の気圧も同時に計測する必要があるとの結論を得た. (3)については,冷凍庫を用いた実験を実施し,体積含水率0.25の珪砂について,-1.0~-0.2℃程度の領域において不凍水曲線を得ることができたが,それより高温の領域および他の含水状態の不凍水曲線を得るには至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
凍結土壌の吸引圧の計測に関しては,新たに装置を製作し,凍結土壌の吸引圧の計測を試みたものの,凍結に伴う空隙内の圧力の上昇を抑制することができなかったためである. また不凍水曲線の計測に関しては,土壌試料を封入するカラムを改良したため,実験全般の遂行に時間がかかったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
凍結土壌の吸引圧計測に関しては,上記の考察を踏まえて,土壌空隙内の気圧を同時に計測することにより,精度の良い吸引圧の計測を試みると同時に,不凍水曲線の計測については今年度の実験で確立した方法で,計測を続ける. 凍結土壌の熱伝導率計測は,これまで研究代表者が試みた方法を基に計測を進める. これらの凍結土壌の熱・水分物性の計測により基本的なデータを得るとともに,従来の凍上変位計算式などをもとに,実験で得られた凍結土壌の変位量を用いて,変位量の解析を試みる.
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Causes of Carryover |
凍結土壌の吸引圧計測装置については,より精度の良い測定が可能な装置を作成するために,数度の改良が必要と考えられたが,当該年度内での新たな設計・作成が実施できなかったため,次年度使用額が生じた. 今年度は新たな吸引圧計測装置を設計し,作成するとともに,通常の天使をメーターを複数購入し,それらを用いた凍結実験により,吸引圧の変化と体積含水率との関係を調べる. さらに凍結土壌熱伝導率の計測実験に必要な装置・実験資材を購入する.
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