2022 Fiscal Year Research-status Report
A Stochastic Approach for Empirical Analyses of Urban/Traffic Models with Multiple Equilibria
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22K04347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長江 剛志 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30379482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 大二郎 東北大学, 工学研究科, 助教 (30813414)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 複数均衡 / ポテンシャル・ゲーム / 集積経済モデル / 最尤推定 / 加速射影勾配法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,規模経済の存在などによって複数の解が存在し得る都市・交通均衡モデルに対して,現実に観測される情報に基づいてモデルのパラメタを推計するための手法を開発する.本研究では,都市・交通均衡モデルの中で,ポテンシャル・ゲームに帰着するものに注目する.研究代表者らは,ポテンシャル・ゲームに対して,系の動学が Langevin 拡散過程に従う時,その定常分布がBoltzmann型の解析解を持つことを明らかにしている. 本研究では,このことを活用して,まず,現実に観測される系の状態(交通量・立地パターン)に応じたモデル・パラメタ(およびノイズ・レベル)の尤度を各「観測状態」の生起確率の積として定義したとき,その対数尤度の勾配が極めて効率的に計算可能であることを明らかにした.具体的には,積分定数に相当する項を有限の「参照状態」で近似すると,対数尤度のパラメタについての勾配が,観測状態および参照状態のそれぞれにおけるポテンシャルの勾配の荷重線形和(異なる確率の下での期待値)となることを明らかにした.次に,このことを用いて,勾配法の中で理論的に最速であることが知られている Nesterov の加速射影勾配法を適用したアルゴリズムを開発した.最後に,複数均衡解を持つ交通モード選択均衡モデルを対象とし,提案手法が適切に作動することを明らかにした.具体的には,十分な観測情報が存在する(観測状態の頻度と定常分布がほぼ一致する)場合には正しく真値を推定し,そうでない場合でも,推定値の一致性,普遍性,有効性が観測状態の数に伴なって漸近的に成立することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数解が存在する均衡モデルのパラメタを最尤推定するための手法を開発できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
第1に,観測状態の数が少ない場合,最尤推定されたモデルのパラメタは真値から乖離し得る.このことを考えると,パラメタもまた分布として推定することが望ましい.そこで,今後は,提案手法をパラメタの Bayes 推定へ拡張する. 第2に,最適化理論の視点からは,ポテンシャル・ゲームの「双対問題」とそのダイナミクスを考えることに興味がある.従来の研究では,各戦略を選択する「主体数」と(各主体の利得改善行動の結果としての)ダイナミクスしか取り扱っていないため,そこで,今後は,ポテンシャル・ゲームに対する双対ダイナミクスその確率的拡張を行う.
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