2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K04354
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯田 克弘 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70222809)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 状態不安 / 特性不安 / 注意制御 / 注意コンポーネント |
Outline of Annual Research Achievements |
強いストレスが不安や抑鬱症状の原因となることは一般的に知られている.また,不安を感じている場合,注意制御が低下することが既往研究で示されているが,この注意制御の低下が,運転操作不適に相当する運手者挙動に繋がることを実証した研究例は無い.本研究では,新たな視点の安全運転啓発・教育手法の開発を念頭に,運転者の不安が注意制御と運転挙動に与える影響をモデル化することを目的としている. 2022年度は,研究計画調書に記載した通り,まず,運転者の状態不安が注意制御と運転挙動に与える影響に関する仮説構築を行った. 仮説検証に必要なデータのうち,車両挙動および運転者挙動についてはドライビング・シミュレータを用いた室内走行実験により取得した.また,状態不安,注意制御,行動抑制,特性不安の各指標については,既往研究に準じた質問紙を設計し,室内走行実験時に調査した.現在,得られたデータを用いて構築した仮説の検証を行なっている. また,研究計画調書に記載した通り,走行実験における注意コンポーネント調査手法の検討も行った.具体的には,日本高次脳機能障害学会が考案した標準注意検査法に準じて,走行実験と同時に実施可能な注意コンポーネント調査手法を検討した.計画では,2023年度に実際の調査を行う予定であったが,予定を前倒しし,2022年度の実験時に注意コンポーネント調査を実施した.今後,注意制御と注意コンポーネントとの関係性を分析するとともに,調査の改良点を把握し,2023年度に再度実験・調査を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度構築した運転者の状態不安が注意制御と運転挙動に与える影響に関する仮説について,今年度実施した実験・調査結果に基づき,検証する予定であったが,現在は検証のための分析が継続中である.これは実験実施時期が遅れたためであるが,来年度に実施予定だった調査を今年度に前倒しすることになったため,検討に時間を要したことがその理由である.以上を総合的に勘案して(2)と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
運転者の状態不安が注意制御と運転挙動に与える影響に関する仮説について検証を進め,その結果に基づき,必要に応じて仮説を再構築する予定である.また,2022年度に実施した注意コンポーネント調査の結果を利用して,運転行動,注意制御および注意コンポーネントの関係性を分析し,調査方法の改善点を検討する.これらを踏まえて,2023年度に走行実験と調査を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
被験者募集や管理業務委託の費用を計上していたが,最近の状況では人件費が高騰しており,この費用が大幅に増加した.また,研究に必要な運転者の視線計測のために,新たな機器のレンタルが必要となった.これらのことから費用の見直しが必要となり,結果的に19,335円の残高が生じた.この残高は,2023年度に実施する実験や調査の費用として利用する予定である.
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Research Products
(2 results)