2023 Fiscal Year Research-status Report
都心空間の再整備戦略の策定に向けた時空間・マルチモーダル回遊行動モデルの開発
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22K04359
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
寺山 一輝 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (50780897)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 回遊行動 / 都心空間 / マルチモーダル / 経路選択モデル / 時空間回遊行動モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,交通手段の選択行動を組み込んだ上で,平面の移動空間に時間軸を導入した時空間上で移動と滞在を同時に記述することができる時空間マルチモーダル回遊行動モデルを構築することを目的としている.そして,構築したモデルを用いて,土地利用・交通サービスの再編が来街者の回遊行動に及ぼす影響を評価する.なお,研究対象地域は金沢市中心部を取り上げた. 過年度は,金沢市中心部における来街者を対象として実施したGPS行動軌跡データを用いて,来街者の回遊パターンにみられる特徴を明らかにした.そして,来街者のマルチモーダルな経路選択行動を記述するために必要な多層街路ネットワーク構造を提案し,その生成を行った.そして,人々の再帰的な選択行動を記述できるRecursive Logit Modelを適用して,マルチモーダル経路選択行動モデルのパラメータの推定を行った.しかし,パラメータの符号の整合性などの推定結果の安定性が低いという結果となった. 本年度は,まず,GPS行動軌跡データのサンプル数の拡充に取り組んだ.そして,近年,提案されたパラメータを安定的に求解可能なPrism-Recursive Logit Modelを適用して,過年度に構築したマルチモーダル経路選択行動モデルの改善に取り組んだ.その結果,マルチモーダル経路選択モデルのパラメータは安定して推定することができた.さらに,このモデルを用いて,土地利用と交通サービス水準の再編が来街者の交通手段・経路選択行動に及ぼす影響をシミュレーションした.また,Prism-Recursive Logit Modelを適用して,来街者の時空間上での移動と滞在を一体的に記述可能な目的地選択行動モデルの構築に着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請課題では,時空間・マルチモーダル回遊行動モデルを構築し,このモデルを用いて,土地利用・交通サービスに関する施策評価を行うことが最終目標である.本年度は,初年度に実施予定であったアンケート調査・GPS調査を実施し,サンプル数を拡充に努めた.そのため,本来の予定であった時空間・マルチモーダル回遊行動モデルの構築に遅れが生じた.本年度は,パイロットモデルとして時空間上における目的地の選択モデルを構築しているが,マルチモーダルな経路選択行動モデルとの統合には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,過年度に取得したアンケート調査・GPS調査データを用いて,時空間・マルチモーダル回遊行動モデルを構築する.さらに,構築したモデルを用いて,土地利用・交通サービスに関わる施策パッケージの導入効果を検証する予定である.そして,本申請課題の取りまとめにかかる.
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Causes of Carryover |
感染症の影響を受けて,初年度にアンケート調査・GPS調査を実施することができなかった.そのため,1年遅れで調査を実施した.これによって,回遊行動モデルの構築および研究成果の公表を遅れが生じ,論文投稿費用や学会参加費などを計上することができなかった.以上より次年度への使用額が生じた.
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