2022 Fiscal Year Research-status Report
A model for acceptance of wide-area evacuation based on an examination of the inflow and outflow of population in a short period of time due to the nuclear power plant accident.
Project/Area Number |
22K04369
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
齊藤 充弘 福島工業高等専門学校, 都市システム工学科, 教授 (20353237)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 原発事故 / 避難者等受け入れ / 人口減少 / 人口構造 / 産業構造 / 土地利用 / 市街地整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,2011年3月の福島第一原発での事故発生により福島県内で避難者等を受け入れた市町村を対象として,第一に短期間でどこにどのように人口を受け入れたのかを明らかにすることを目的とするものである。県内59市町村単位で2010年,2015年,2020年の国勢調査よりデータベースを作成して経年分析をすると,2010-2015年に一時的に人口が増加した市町村(4)や人口減少率が緩和した市町村(18)があり,これらの市町村を原発事故発生による避難者等を受け入れた市町村と定義して,世帯数,性別人口,産業大分類別就業者数,年齢5歳階級別人口を指標として経年分析した。また,小地域単位でその変化を調査・分析した。 最大の避難者等を受け入れたといわれるいわき市を先行調査・分析すると,2015-2020年の期間に入ると人口が減少するなかで年齢階級別にみると,5~9歳と25~34歳,70歳以上の階級を除いて減少する形となっており,原発事故後に流入してきた人口がその後再び流出する形となっていることがわかる。また,産業大分類別就業者数に着目すると,事故発生前から就業者数が多い製造業や卸売・小売業,飲食店,運輸・通信業など7つの産業が2010年から一貫として減少しており,電気・ガス・熱供給・水道業や建設業,不動産業など6つの産業が一時的に増加したり増加を継続していることがわかる。さらに小地域単位で分析すると,2期にわたる人口変化は,一貫として減少する地域が201(40.8%)と最も多く,次いで市全体の変化を表すように増加・減少する地域が170(34.5%)と多くなっており,一貫として増加する地域も55(11.2%)確認することができた。その特徴は,中心市街地と郊外において人口が大きく増加した地域を確認することができ,宅地や農地・未利用地から大規模な集合住宅や戸建住地が建設されていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響により,現地調査を実施することが難しい状況にあったため,研究初年度は国勢調査や経済センサスを用いたデータベースの作成を重点的に行った。コロナ禍の状況も緩和しつつあるため,引き続き感染拡大状況を注視しながら,土地利用や都市施設の立地に関する現地調査を効率よく実施して必要なデータを収集していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,いわき市において先行して実施した人口構造に関する調査・分析を他の避難者等を受け入れた市町村を対象として実施していく。 また,経済センサスを用いて産業大分類別事業所数と従業者数についても同様に調査・分析し,事業所数が変化した小地域の特徴を明らかにし,人口変化との関係を分析していく。 そのうえで,人口が原発事故発生後に一時的に増加したり事故発生後から増加を継続する小地域を対象として,人口構造と土地利用,事業所数や都市施設に着目した変化とその特徴を明らかにするための調査・分析に着手していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大状況により,学内のリスク管理上の活動規制もあり,研究補助を予定していた学生と一緒に活動することが困難となり,研究代表者単独での活動を強いられた。また,研究情報の収集や発表などを予定していた学会等での活動もオンラインでの開催となり,そのために予定していた旅費や謝金を使用することができなかったため助成金の残予算が生じてしまった。
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Research Products
(1 results)