2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04372
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
加藤 毅 群馬大学, 情報学部, 教授 (40401236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (80550368)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 微生物学的感染リスク / 統計解析 / 最適化アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
水中病原体濃度と指標濃度の相関関係を適切に定量化することは,微生物学的感染リスクを管理し公衆衛生を保全するための環境政策や規制の設計において重要である.しかし,病原体濃度の陰性率が高いと,相関解析の推定結果と真の統計値との誤差が大きくなり,誤った結論が導かれてしまう.本研究は,機械学習的なアプローチによって濃度相関解析法の再構築を試みるものである.従来は,病原体と指標のペアごとに個別に濃度の相関を算出していた.本研究では,水質データや水質工学分野の知見を利用し,かつ,測定した病原体群と指標群の濃度を相互利用して,同時に相関解析を行うことができるアルゴリズムを構築を目指している.統計学分野では,トビット解析と呼ばれる,非検出値を含むデータから回帰分析を行う解析法が存在している.トビット解析を用いたとしても,2変数間を個別に求める方法になり,データ行列全体を同時推定できる枠組みになっていなかった.今年度は,トビット解析において補完する列を多重化したアルゴリズムを試作した.具体的には,従来のトビットモデルは線形回帰モデルをもとに設計されていた.従来のトビットモデルは線形回帰モデルと同様,ターゲット変数は1個だけであった.初年度に開発したアルゴリズムでは,ターゲット変数を多重化することによって,データ行列全体を同時推定できる枠組みを実現した.モデルを改変したときに重要となるのは,安定して回帰係数を決定するアルゴリズムである.従来のトビットモデルで用いられている期待値最大化法は座標上昇法になっていることに注目し,拡張したモデルにも座標上昇法を当てはめた.すると,座標上昇法の各ステップは閉じた形で表現できることが分かり,ユーザが特に調整しなくても安定して回帰係数の推定値が得られ,よって,補完値が得られるアルゴリズムとなることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は,個別相関分析の方法論を数理的に整理して,同時相関分析に拡張できるように再定式化を行うことになっていた.実際に個別相関分析の方法論を数理的に整理し同時相関分析ができるようアルゴリズムを一般化した.よって,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,同時相関分析のための理論を整備し,人工データを使ってアルゴリズムの微調整と性能評価を行い,実際の水質データを使った計算機実験を行い,開発したアルゴリズムの推定精度を検証する予定である.
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで,研究機材の価格の変動が生じたため,必要な研究機材の効果的な購入時期を再検討したしたため,当初の見込み額と執行額は異なった.しかし,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,当初予定通りの計画を進めていく.
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Research Products
(2 results)