2023 Fiscal Year Research-status Report
深層学習を用いた浄水処理の凝集プロセス自律制御手法の開発
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22K04382
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 昭弘 北海道科学大学, 工学部, 講師 (30826277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 敬 北海道科学大学, 工学部, 教授 (10234022)
山村 寛 中央大学, 理工学部, 教授 (40515334)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 浄水処理 / 深層学習 / フロック / 凝集 / 回帰予測 / モデルチューニング / Resnet-RS |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も継続して、小型凝集装置から取得した凝集中のフロックの画像をデータセットとして、凝集沈殿後の濁度を回帰予測する深層学習モデルの開発を実施した。2023年度の研究では凝集剤の量を最適化するためには0.25度程度の濁度誤差で予測可能になることを目的とした。 そのために(A)0.01度から1.0度の低濁域の予測性能を上げるための教師信号のチューニング、(B)モデルをResNetからResNet-RSへの変更、(C)季節と温度毎モデルの作成とアンサンブル学習、(D)小型凝集装置でのさらなるデータの取得、(E)浄水場での実際の監視室で取得しているフロック画像への適応、を主軸として研究した。 実験の結果、(1)未知のデータに対して0.5度以内の濁度誤差で判別できたデータは、2022年度は84%であったが、条件次第ではあるが2023年度では97%と大きく向上できた。また、0.25度の濁度誤差では2022年度は50%程度であったが、2023年度では83%まで向上させることができた。(2)ResNetとResNet-RS、EfficientNetを比較しResNet-RSの方が精度が良好であるという結果が得られた。(3)季節と温度ごとにモデルを分けることは有効であり、平均して10%から15%程度の精度向上が可能であった。(4)低濁度域の反応が良くなるように教師信号をチューニングすることは有効であることがわかった。(5)浄水場の監視室で取得しているフロック画像に本モデルを応用誌た場合、正常に予測できないことがわかった。これは予想通りであり、実運用の際には濁度予測専用の設備を別途導入する必要があることが明らかになった。 今後はデータを継続して取得するとともに、今回の結果をもとにさらにモデルのチューニングを実施していく。また、凝集量を制御する仕組みについても開発を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に予定していた、(1)季節による水質変動モデルの開発、(2)他手法との比較、(3)アンサンブル学習について実験を行った。 (1)と(3)については季節ごとのモデルを作成し、単体の精度とアンサンブル学習をした際の精度を比較した。結論として総合的に見ると季節ごとのモデルを利用するのが良いという結論を得ている。(2)については前年度に検討した、ResNetとResNet-RS、さらに、EfficientNetを比較しResNet-RSが良いという結果を得た。 本研究で重要となる予測モデルの濁度誤差についても(1)から(3)の実施により、2022年度よりも大幅に精度を向上させることができた。また、2024年度に実施する実際の浄水場への適応も視野にいれた実験も若干前倒して実施できている。 以上のことからおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して未知データに対する精度を向上させるために継続して小型凝集装置でデータを取得するとともに、これをデータセットした実験を実施していく。 2024年度は計画通りこのモデルを実際に浄水場に適応するための手法の確立を目指す。また、別水系への適応を視野に入れ、水系ごとに再学習が可能な手法の確立も狙う。また、より進んだ研究として凝集剤の注入量をコントロールする仕組みについても検討していきたい。
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Causes of Carryover |
旅費を効率的に執行し、さらにデータ格納用のストレージも効率的な運用ができるように工夫したことで予定よりも執行額が少なかったため。 2024年度は深層学習モデルの実運用に向けて、モデルの学習回数が増えることが予測されるため、繰越金を利用して深層学習用GPUの増強に費用をあてたい。
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