2022 Fiscal Year Research-status Report
飛灰中未反応カルシウムと未利用リン資源による鉛の鉱物化不溶化システムの創出
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22K04385
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
高松 さおり 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10547855)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 焼却飛灰 / 重金属 / 鉛 / リン酸カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
焼却飛灰の不溶化方法として有機キレート剤による薬剤処理が一般的であるが,排ガス処理由来のカルシウム系アルカリ薬剤に起因するカルシウム成分が鉛を不溶化するキレートの結合の破壊や錯体形成による溶解を引き起こし,安定化した飛灰からの鉛の再溶出を高める可能性が懸念されている。 本研究では,無機系の鉛不溶化剤としてリン酸カルシウムを用い,鉛不溶化のための最適条件を探索するためまずは試薬を用いて種々の検討を行った。種々の濃度に調製した硝酸鉛溶液および塩化鉛溶液に対してリン酸カルシウムを加え振とうを行い,固液分離により得られた液相中の鉛,カルシウム,リン酸濃度をICP発光分光分析装置により測定した。その結果,種々の濃度に調製した硝酸鉛溶液および塩化鉛溶液のいずれにおいても液相中の鉛濃度は減少し,鉛の埋立判定基準である0.3 mg/Lを下回る結果が得られた。また,固相については粉末X線回折装置および走査電子顕微鏡により構成相の評価,表面観察を行った結果,初期鉛濃度が高い試料については鉛系アパタイトに帰属する回折パターンが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,鉛不溶化のための最適条件を探索するため,試薬のリン酸カルシウムと鉛含有溶液の反応により生成する鉛アパタイトのpH範囲,鉛の除去量の評価,得られた生成物の構成相等の評価を行った。当初の予定通り研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,飛灰中に含まれる高度排ガス処理由来の未反応消石灰の影響について評価を行うため,試薬消石灰,リン酸カルシウムおよび鉛含有溶液との反応における鉛除去量の評価等から不溶化効果ついて検討する。また,鉛除去後に得られた固相の長期安定性について確認を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験により得られた試料についてより詳細な分析を行うため,他研究機関での分析機器利用を予定していたが先方との予定のすり合わせの結果年度末の出張となり,旅費に若干の余裕を持たせ結果端数が生じた。
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