2023 Fiscal Year Research-status Report
細菌及び藻類より回収したバイオポリマーの特性及び膜閉塞抑制手法の解明
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22K04389
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
三好 太郎 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (80587791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 克輝 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10292054)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膜ファウリング / バイオポリマー / 膜ろ過 / 藻類 / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の検討では、藍藻類2株(Microcystis aeruginosa及びPseudanabaena sp.)と緑藻類1株(Tetradesumus acuminates)、更には細菌2株(Buttiaxella agrestis及びPiscinibacter aquaticus)から回収・精製したバイオポリマーを用いた凝集膜ろ過実験を実施した。凝集剤添加率、凝集pHを変化させながら膜ろ過実験を行い、バイオポリマー特性と凝集による膜ファウリング抑制効果の関連を検討した。また、Pseudanabaena sp.を用いて、培養日数の異なる藻類より回収したバイオポリマーの膜ファウリング発生ポテンシャルの差異についても検討を行った。 得られた実験結果より、バイオポリマーの中でも、特に分子量の大きい画分を有効に除去することのできる凝集条件において、膜ファウリング抑制効果が大きかった。凝集条件との関連では、弱酸性条件(pH 5.5)において凝集を実施することで高分子バイオポリマーの除去効果並びに膜ファウリング抑制効果が大きくなる傾向があることが明らかとなった。藻類の培養日数の影響としては、培養日数の短い条件において回収されたバイオポリマーにおいて、単位有機物量当たりの膜ファウリング発生ポテンシャルがわずかに高くなることが明らかとなった。培養日数が異なることで、回収したバイオポリマーの特性も異なっており、そのような差異が膜ファウリング発生ポテンシャルの差異に影響を及ぼしていたものと考えられる。培養期間に関わらず、適切な条件で凝集を行うことで膜ファウリングの発生を抑制することが可能であったが、膜ファウリングの抑制に効果的な凝集条件が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において、2023年度に実施する予定であった精製バイオポリマーを用いた膜ろ過実験を繰り返し実施することができたことに加え、回収したバイオポリマーの特性と膜ファウリング発生ポテンシャル並びに好適な前処理条件の関連性について知見を集積することができた。当初計画していた検討は順調に進めることができていると考えられるため、研究の進捗状況は概ね良好であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、培養した生物より回収し、精製を行ったバイオポリマーを用いた検討を通じ、バイオポリマーの特性と膜ファウリングの関連に関する知見をさらに集積していく予定である。また、当初計画通り、実水道原水(河川水や湖沼水)に対し、精製したバイオポリマーを添加した試料で凝集膜ろ過実験を行い、天然有機物をはじめとする水道原水中の有機成分がバイオポリマーに起因する膜ファウリングに対して及ぼす影響に関する検討にも着手する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の検討は概ね計画通り進捗したものの、実験に向けた細菌・藻類の培養工程を含む実験作業全体を効率的に進めることができたため、予算執行の効率化を図ることができた。次年度は、実験室内で作成した試料に加え、実浄水場からの採水も必要となるが、次年度使用額が生じたことを受け、実浄水場試料を用いた実験の実施回数を増加させることを計画しており、次年度使用額と当初予算額双方を使用することとなる見込みである。
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