2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of the Cold-Formed Steel Framing System Assembled by Bolted Connection with Easy Installation
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22K04394
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 篤司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00362319)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 乾式接合 / 軽量形鋼 / ボルト接合 / 摩擦抵抗力 / 支圧抵抗力 / 耐力 / 塑性変形能力 / ドリルねじ |
Outline of Annual Research Achievements |
鋼構造建築物は,部材と部材を接合して構築される。接合には溶接(湿式)とボルト・ドリルねじ(乾式)が用いられる。乾式接合は,技能者(溶接工)を必要としないことから,その構造性能は接合要素(ボルトなど)に依存することになる。ボルトなどの接合要素は工場で製造され、その構造性能はJISなどに規定されていることから、安定した品質であるといえる。以上の理由から、ボルトなどの乾式接合を用いた接合部は、その性能のばらつきが小さい接合形式といえる。一方で、ボルトを用いる際には、接合する部材同士(被接合材)に孔を明けることになるため、断面欠損を生じることになり、その影響の適切な評価が重要となる。ボルトを用いた接合部には,ボルトを通すためのクリアランスが必然的に存在するため、そのクリアランスに伴う「がた」が生じることになる。一方で、乾式要素の一つである「ドリルねじ」は、自身で被接合材にタップを立てながら接合するため、接合要素と被接合材にクリアランスが無い接合形式となる。両者の乾式接合を併用することができれば、ボルトのデメリットを補いながら、接合部として終局耐力を高められることができる可能性がある。 本年度の研究では、鋼構造建物で重要な要因となる変形を制御するために、接合部のクリアランスによる影響を無くす実験を実施し、その可能性を探った。なお、日本建築学会が刊行する図書には、ボルトとドリルねじの併用に関する記述はなく、原則その利用を認めていない。 本年度の要素実験からは、以下の点を明らかにすることができた。1)ドリルねじを適切に併用することで、ボルト接合に生じるクリアランスの影響を抑制できる。2)耐震設計で重要となる降伏耐力と最大耐力については、累加即と非累加即が適用されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、ボルト接合のみに限定した実験を実施したが、ボルト接合では避けされないクリアランスの影響を工学的に排除できなかった。そのため、計画には含めていなかったドリルねじを用いた接合との併用について実験計画を変更し、ボルトとドリルねじの併用についてその可能性を探ったため、当初の研究計画から見ると予定通り進捗していない。ただし、設計法構築に向けて重要となる建物の変形制御に関する有用な知見は得られており、次の実験計画ではより効率的な実験が実施できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の要素実験から、ボルト接合で問題となるクリアランスの影響を抑制する手法を確認したことから、ボルト+ドリルねじの乾式接合形式についての部分架構実験をより効率的に実施できる予定である。 試験体計画を決定する前に、ボルトとドリルねじの併用に関する工学的な設計式を確立する。その後、当初の計画である部分架構実験に基づいて骨組の構造性能を評価する。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画を変更し、要素実験に基づく研究へと計画変更したため、試験体製作費が予定よりも抑えられた。ただし、要素実験の成果は次の架構実験に有益な成果を与えており、効率的に架構実験を実施可能にしている。
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