2022 Fiscal Year Research-status Report
Post-fire seismic performance of structural steel and steel moment frame
Project/Area Number |
22K04401
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
焦 瑜 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 准教授 (40632493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60230455)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 火災後地震 / 加熱冷却後鋼材の耐力 / 加熱冷却後鋼材の変形能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
建設中又は使用期間中の鋼構造建物に火災が起こる可能性が考えられる。特に、工事現場では、溶接・溶断の火花などが飛散し、周囲の可燃物(内装材や断熱材など)へ火花が飛び散ることで燃えやすくなっている。建設中や使用中の鋼構造建物に火災が発生した場合、鎮火後、被災区画内部材の残留変形や耐火被覆の診断による火災時鋼材が経験した最高温度を推定して火害等級を定められ、構造耐力上の影響が見られる場合、それに応じて補修・補強する。耐力上影響がないと判断される部材は補強せずに再利用される。しかし、耐力上の問題が解決したとしても、熱を受けたことによる部材の繰り返し変形能力の変化については解明されておらず、建物の耐震性能への影響の有無はわかっていない。本研究では、建築構造に多用されている鋼材に着目し、「温度・加熱・冷却時間」をパラメータとして加熱冷却後鋼材の繰り返し載荷実験を行い、加熱冷却条件と鋼材の履歴挙動・繰り返し変形能力の関係を調べる。 火災を経験した鋼構造建物の耐震性能を調べるために、加熱冷却後の鋼材の極低サイクル疲労性能を把握することも必要不可欠であるため、一様伸び程度の大歪振幅鋼材繰り返し載荷ができる実験方法(装置)の開発は重要とされる。初年度では、鋼材の大歪振幅繰返し載荷実験を行うことができる実験方法を開発し、±12%までの歪振幅で繰返し載荷を行い、大振幅時でも鋼材のくびれが発生するまでに安定して繰り返し載荷実験ができることを確認した。そして、本研究の実験結果と既往研究の極低サイクル性能式を比較することで、実験方法の有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通り疲労試験機を用いて繰り返し載荷実験を行ったが、上下の掴み部の僅かなずれが偏心を起こし、試験体が座屈変形を引き起こしてしまい、実験は失敗した。 そこから機械式精密万能試験機で実験を行うことに切り替え、治具設計の試行錯誤で時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度では、建築構造によく使われているSS400、SM490A、SA440B鋼材の加熱冷却後繰り返し載荷実験を行い、高温履歴がある鋼材の履歴挙動及び繰り返し変形能力を調べる。実験のパラメータは、加熱温度、加熱時間、冷却方法と歪振幅である。実験で得られる異なる加熱履歴を受けた3種類鋼材の応力-歪関係から履歴挙動を調べ、更に、歪振幅と破断までの繰り返し回数の関係を検討し、熱履歴を受けていない試験体と比較することで、火災時の温度と加熱時間が鋼材の変形能力に及ぼす影響を検討する。 そして、加熱冷却された鋼材の履歴挙動を反映し、梁部材の面内数値解析を行うことで、加熱履歴を経験した鋼構造梁部材の変形能力を把握する。
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Causes of Carryover |
2023年度では、前年度に予定していた実験を行うため、試験体、計測設備などに費用を本年度に計上した。
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