2022 Fiscal Year Research-status Report
Modeling distribution shape of accumulated volcanic ash on roof thorough ashfall test
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22K04404
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 剛 都城工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (20240103)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 積灰荷重 / 火山灰 / 火山噴火 |
Outline of Annual Research Achievements |
積灰荷重の算定に資する基礎資料を得ることを目的として、屋根サイズが1100mm×1200mmのガルバリウム鋼板を葺いた4寸および4寸5分勾配の片流れ屋根に、高さ5,500mmの足場骨組の最上部から2014年に桜島から噴出した火山灰を100kg降下させ、屋根上の火山灰の堆積厚さを計測した。 火山灰はふるい目0.2mmのふるいを用いて製作した火山灰降下装置から自然降下させた。堆積厚さの計測システムはレーザー変位計・電源装置・コントローラとノート型パソコンで構成し、レーザー変位計により採取された距離データはコントローラを介してPC上にCSV形式で記録した。 火山灰の降下後にレーザー変位計を取り付けた電動スライダーを屋根の短辺方向に動かし、屋根上に設けた50mmピッチのグリッド状の測定点で計測を行い、屋根面までの距離と火山灰表面までの距離の差分により、火山灰の堆積厚さを求めた。 屋根に降下する火山灰は軒先部に斜面を形成し、斜面後方は平らな面を形成する傾向にあり、これらの形状が屋面に堆積する火山灰の特徴であることが予想されたので、軒先部斜面の頂点部分の堆積厚さと頂点の屋根面への垂直投影地点から軒先(堆積部分の最外縁部)までの距離を計測して、これらの正接に屋根勾配を加算して軒先部分の斜面角を求めた。 軒先部の斜面角は32°であり、400gの火山灰試料を用いて自由堆積法により得られた砂山の安息角30.3°と同程度であった。また、測量結果から得られた屋根上火山灰の3Dモデルから推定した屋根に堆積した火山灰の重量は降下火山灰重量の60%程度であった。これらの結果から、勾配屋根に降下する火山灰の堆積形状は火山灰の安息角と堆積率をパラメータとしてモデル化できる可能性が高いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
天候不良と新型コロナ感染の影響を受けて、4寸勾配の屋根を用いた実験の開始が遅れ、霧島山から噴出した火山灰を用いた降灰実験と3寸勾配での降灰実験を実施できなかった。また、実験時間の短縮のために火山灰の降下方法を変更したために火山灰の降下範囲の制御に時間を要し、屋根に堆積した火山灰の重量を計測できなかった。コロナ感染状況が悪化した場合は地元建設業の協力を得て実験を継続する予定であったが、第7波の影響が想定以上であっために実験協力者の確保が困難になったため、いくつかのパラメータを実施できなかった。しかしながら、勾配屋根上の火山灰の堆積モデルが火山灰試料の安息角であることを明らかにしており、2022年度の問いの核心的な部分は解明できているので、研究の遅延が研究計画全体に及ぼす影響は小さい。
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Strategy for Future Research Activity |
火山灰降下装置のシャッターの構造を開閉式からスライド式に変え、人力による断続的な降灰方法から起振機による連続的な降灰方法に変更して作業時間の短縮化を図る。また、2023年度に実施予定の曲面屋根を用いた実験に使用する曲面屋根の製作期間に2022年度に実施できなかった実験を実施する。天候不良等の影響で実験が遅れた場合には実験補助の人員数を増やし、実験用の足場を2組設置して、曲面屋根の降灰実験と並行して勾配屋根の降灰実験を実施する。実験補助員は確保済みである。
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Causes of Carryover |
屋根に堆積する火山灰の堆積形状は降灰強度の影響を受けるので、安定した堆積形状を得るために100kgの火山灰を10kgずつ10回に分けて降下させ、1平方センチメートルあたり1グラムの降灰強度を再現すさる予定であったが、天候不良と新型コロナウィルス感染の影響を受けて、4寸勾配の屋根を用いた実験の開始が遅れたので、1回の降灰実験に要する時間を短縮するために50kgずつ2回に分けて1平方センチメートルあたり4.6グラムの降灰強度で降下させることにした。この結果、火山灰の一部が屋根の外に落下するようになり、堆積率の計測が困難になったので、当初計画していた荷重計による屋根上の火山灰重量の計測を次年度へ延期することにし、予定していた荷重計一式を購入しなかったので次年度使用額が生じた。次年度使用額は2023年度に荷重計一式を購入して勾配屋根および2023年度に予定している曲面屋根の降灰実験での屋根上火山灰の重量計測に使用する。
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