2022 Fiscal Year Research-status Report
新規応力測定デバイスによる木質構造接合部の割裂抑制効果の定量評価
Project/Area Number |
22K04410
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 研治 静岡大学, 農学部, 准教授 (90576240)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 木質構造 / 接合部 / 割裂 / 応力分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
木材および木質材料は塑性変形能力が乏しい。特に木材繊維に直角方向の力には弱く、木材の割裂により急激に脆性破壊してしまう。エネルギー吸収を期待する設計を行うためには、木材が割裂などにより破壊することを防ぎ、鋼製接合具の変形性能を確保する考え方が重要となる。しかし、接合部が大型になるほど、木材の割裂が生じるリスクは高くなる。割裂現象を定量的に解明するためには、割裂の原因となる横引張応力を測定する手法の確立が必須である。 本研究では、木質構造の接合部における横引張応力の測定手法の確立を目指し、横引張応力測定デバイス(以下「デバイス」とする)を新規に開発するとともに、デバイスを用いて接合部周囲の横引張応力分布の定量的把握を試みる。 本年度は応力測定デバイスの試作・検証を行った。デバイスには、加工性と強度の観点からアルミ合金(A5052)を使用した。直交単板による割裂補強を想定し、デバイスの引張剛性が単板と同程度になるように測定部の断面寸法を調整した。デバイスの木材への接合方法などを変化させて鋼板添板ボルト接合部のせん断試験を行い、測定が可能な条件の検討を行った。結果として、接合部が終局に至るまでの横引張力の測定を行うことができた。 また、アルミ薄板を挿入したLVLを用いた鋼板添板ボルト接合部の繊維直角方向加力試験を実施し、直交単板を挿入した場合との比較を行った。両者は類似した荷重変形関係を示しており、直交単板の代わりにアルミを使用することの妥当性が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で想定していた形状とは異なるものの、横引張力の測定自体には成功しており、本年度の目的は達成していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
接合部の寸法等の条件を変化させてせん断試験を行い、応力分布のデータを蓄積するとともに、各条件が及ぼす影響について検討をすすめる。デバイスの改良も引き続き行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
測定デバイスの作製に必要な費用が想定よりも少なく済んだ。次年度使用額については翌年度の試験条件の拡充にあてる予定である。
|
Research Products
(1 results)