2022 Fiscal Year Research-status Report
交通振動による苦情の原因解明と解消を目的とした簡易地盤伝搬解析手法の実用化
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22K04425
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関口 徹 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50451753)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 環境振動 / 交通振動 / 地盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
交通振動による苦情の原因となる地盤の振動伝搬メカニズムを明らかにし,交通振動の振動数特性や複雑な地盤の層構造を考慮できるより精度の高い予測が可能で,かつ簡易で実用的な手法を構築し実用化させることが目的である。 東京都東部で道路交通振動計測を実施し,これまでの他地点での計測結果を含めて様々な地形等の条件の異なる地盤における振動結果を比較し,さらに提案する簡易手法による地盤振動伝播のシミュレーション解析を行うことで,以下の知見を得た。 平面道路と高架道路では地盤への振動の入力条件が異なり,平面道路では鉛直加振が卓越し周辺地盤の応答も鉛直動が大きくなるが,杭のある高架橋基礎から地盤への入力としては鉛直加振の影響は小さく水平加振が重要となり,その結果地盤応答も水平動が大きくなる。 地盤条件としては地盤の固有振動数が重要であり,加振や応答の方向により異なるが概して固有振動数より高い振動数の地表応答の振幅が大きくなる。軟弱な地盤が厚く堆積する東京都東部のような地盤では固有振動数が低くなり(1~2Hz程度),低い振動数から振幅が大きい。一方で台地などの地盤の良い地点では地盤の固有振動数は高くなり(5Hz程度),それより低い振動数の振幅は小さくなる。 以上のように,様々な地点の地表での交通振動の振動数特性の違いを,道路条件とそれぞれの表層地盤の振動伝搬特性(おもに固有振動数)によりおおむね説明できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画していた現場計測とそのシミュレーション解析を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに異なる条件(特に高架橋)の計測事例を増やす。 振動伝搬メカニズムが明らかになってきたことから,振動抑制対策について,実際に効果があると考えられる構造物がある場所での計測やそのシミュレーション解析により,抑制メカニズムと効果について検討する。
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Causes of Carryover |
ウクライナ戦争の影響でロシア製のセンサのもととなる基幹部分の部品が手に入らなくなり,所持しているロガーとの関係で計測システムの変更を余儀なくされた。また,提案している簡易なものではなく詳細なシミュレーション解析に使用するソフトのバージョンアップ費用をアカデミック版として提供してもらえることとなったため,一部の予算をそちらに使用する予定である。
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