2023 Fiscal Year Research-status Report
火災初期の煙の成層化状況を考慮した視環境予測モデルの構築
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22K04428
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仁井 大策 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50414967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 和典 京都大学, 工学研究科, 教授 (90198911)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光束伝達 / 煙層 / 散乱 / 床面照度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,2022度の成果である地下街等の廊下状空間を流れる煙性状に基づき,煙層形成下での光環境の測定を行い,天井光源からの光束の散乱,重畳を確認するとともに,散乱を考慮した簡易な光束伝達モデルの構築を試みた。 1)散乱による光束伝達の測定 天井光源を設けた模型内に白色に着色した熱気流を流入させて煙層を模擬し,床面照度分布を測定することで,散乱による光束伝達性状を把握した。また,光源を複数設けた照度分布の測定も行い,単独光源との結果の比較から,散乱光束分布を推定した。床面照度は煙層を透過する直接照度と散乱や壁面反射による間接照度の和であるが,実験では、直接光束と間接光束を分離して測定できないため、既往の煙層内での光散乱を考慮した照度の簡易計算法(以下、既往予測法)を用いて、床面に入射する間接照度の推定を試みた。その結果,明らかに光学的煙濃度が高くなるにつれて間接照度推定値が大きくなり,また,間接照度は光源直下付近に集中した分布となっていることが見て取れた。既往予測法では天井全般照明を対象としていることから煙層境界面から発散する散乱光束は場所によらず一様と仮定しているが,煙層内での散乱を考慮した個別光源の光束伝達を検討する際には,散乱光束の分布を考慮する必要があると言える。 2)散乱を考慮した簡易な光束伝達モデル 初期の火災避難時は比較的煙濃度が低いことを踏まえて,煙粒子に1回だけ衝突した光束により床面に形成される間接照度分布の予測モデルを提案した。煙粒子に衝突した際は均等拡散するものと仮定することで,間接光束による床面照度分布を再現でき,実験と比較して煙濃度が低い場合は概ね良い一致を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模型実験により基礎的な光束伝達性状を確認できたとともに,床面照度分布を簡易予測可能なモデルを作成した。本研究課題の最終目標である複数光源からの散乱光束が視対象光源の輝度対比低下に及ぼす影響についても定量的に分析できるデータを得ており,進捗としては概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,光束伝達の数値解析モデルの作成とその結果から導かれる視対象光源の輝度対比の分析を行う予定である。この数値解析モデルでは,周壁面の反射率や煙層の鉛直方向の濃度分布を反映した光束伝達の予測を行うものであり,今年度提案した簡易計算法の適用範囲を明らかにするとともに,周壁の状態と視対象光源の輝度対比についての検討が可能となる。 また,最終年度であるため,国内の学会発表以外にも韓国で開催されるAsia Oceania Symposium on Fire Safety and Technologyでのプレゼンテーションや学術雑誌への投稿を進め,幅広い成果の周知にも努める予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度につくば市で開催された国際会議への参加費105,000円を予算に見込んでいた。しかし,研究代表者が現地運営委員会の一員として従事したことで参加費が免除となった。次年度使用額の大部分はこの参加費免除によるものである。 今年度生じた未使用額は,2024年度に韓国大邱市で開催される国際会議参加費および旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)