2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of metrics for environmental noise including low-frequency components
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22K04437
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
森長 誠 神奈川大学, 建築学部, 助教 (70536846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横島 潤紀 神奈川大学, 付置研究所, 客員教授 (30937264)
山崎 徹 神奈川大学, 工学部, 教授 (70272416)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 低周波音 / 交通騒音 / 圧迫感 / 振動感 / 環境影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国における騒音政策や環境アセスメント等の実務課題を踏まえ,低周波音に固有の心理的反応である「圧迫感・振動感」のメカニズムを明らかにすることを目的としている.また,その知見を踏まえ,低周波数成分を含む環境騒音全体としての評価指標を確立する.具体的に,本研究課題では以下の3点についての検討を行うこととしている. 1) 低周波音に固有の心理的反応である「圧迫感・振動感」による人への影響の解明 2) 低周波音による「圧迫感・振動感」の定量的な評価指標の構築 3) 低周波数成分を含む環境騒音の定量的な評価指標の確立(ケーススタディ含む) 2022年度は低周波音実験室での被験者実験を行い,交通騒音に低周波数成分の音が含まれているか否かによって,「気になる」といった反応がどの程度異なるか,一対比較法で検討した.刺激は交通騒音の中でも圧迫感・振動感が最も強くなる40 Hz付近の成分が多い新幹線とヘリコプタ (ヘリ) の音を使用した.新幹線,ヘリともに低周波音を含んでいる無加工の刺激のLEA (NLEA) を60 dBと70 dBに設定し,ハイパスフィルター(カットオフ周波数は90 Hz)をかけた刺激のLEA (HLEA) は,NLEAに対して-5 dBから+10 dBまでの5 dB間隔で設定した.また,提示順については「無加工→ハイパス」の順と「ハイパス→無加工」の順をそれぞれ実施し,合計で32種類の刺激対をランダムに並び替えて再生した.その結果,NLEAとHLEAが等しい場合でも「気になる」反応の発生率は有意に差があり,低周波数成分を含む場合の方が反応割合が高かった.また,NLEAが3~5 dB程度,HLEAより小さい場合に,「気になる」反応の発生率が等しくなることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書にも示した通り,本研究の実施に先立ち,圧迫感・振動感の教示方法に関する実験,圧迫感・振動感の知覚部位に関する実験,圧迫感・振動感の閾値に関する実験を既に実施しており,その結果の一部は国際会議等で報告している.これらの内容は,「1) 低周波音に固有の心理的反応である「圧迫感・振動感」による人への影響の解明」および「2) 低周波音による「圧迫感・振動感」の定量的な評価指標の構築」と深い関係にある.しかし,「3) 低周波数成分を含む環境騒音の定量的な評価指標の確立」についての知見は有していなかった.そこで2022年度は3)の実験を優先的に実施することとし,ヘリコプター騒音および新幹線騒音を対象とした実験を行い,上述したような成果を得ることができた.これにより,1)~3)までの全てにおいて,第一段階の実験を行うことができたと考えている.残りの2年間はこれらの実験結果の再現性を確認しつつ,課題として確認された事項を詳細に詰めていくことができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,「1) 低周波音に固有の心理的反応である「圧迫感・振動感」による人への影響の解明」および「2) 低周波音による「圧迫感・振動感」の定量的な評価指標の構築」に関して,過去の実験で得られた課題を解決すべく,実験を実施する予定である.これまでに,圧迫感・振動感の閾値の検討を試みてきたが,特に63 Hz~80 Hz程度の,低周波音としては比較的高い周波数の領域において,被験者の回答結果に大きな個人差が生じている.特に,被験者調整法を用いて行った実験では,閾値の幅が30 dBに及ぶなど,安定した結果が得られていない.この点について,調整法に特有の問題があると考えており,2023年度は恒常法など,他の手法を用いた検討を行う.この実験により,圧迫感・振動感を評価するための周波数特性を提案できると考えている. また,これまでの実験により,50 Hz以下程度では頭部を中心に圧迫感・振動感が生じていること,63 Hzでは胸部で圧迫感・振動感を感じやすいことなどが確認できている.このような周波数と知覚部位の対応を詳細に確認することで,その発生メカニズムを追求したいと考えている. 2024年度は,道路交通騒音に関する低周波音の音源モデルを構築し,低周波数成分を含む環境騒音の影響評価に関するケーススタディを行う.まず,単体の自動車から発生する音について,自動車から放射される音の周波数特性をモデル化する.続いて,実際の交通状況を加味した交通流モデルを導入し,実環境に近い道路交通状況での騒音曝露量を推計し,3)で検討した評価指標や曝露反応関係を用い,本研究で提案した評価指標による影響評価の実践を行う.
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Causes of Carryover |
本申請研究では,全体で3種類の実験実施を計画している.被験者実験の実施には実施計画および実施までに多くの時間を要するため,2022年度は1回の実験のみを実施した.2023年度は残り2回の内の1回の実験実施を予定している.低周波音実験室での被験者実験を行う予定であり,その謝金,実験実施に係るアルバイト代が主たる使用用途である.また,国内での学会参加も予定しており,その旅費に使用する.
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Research Products
(3 results)