2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of metrics for environmental noise including low-frequency components
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22K04437
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
森長 誠 大同大学, 建築学部, 講師 (70536846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横島 潤紀 神奈川大学, 付置研究所, 客員教授 (30937264)
山崎 徹 神奈川大学, 工学部, 教授 (70272416)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 低周波音 / 交通騒音 / 圧迫感 / 振動感 / 環境影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国における騒音政策や環境アセスメント等の実務課題を踏まえ,低周波音に固有の心理的反応である「圧迫感・振動感」のメカニズムを明らかにすることを目的としている.また,その知見を踏まえ,低周波数成分を含む環境騒音全体としての評価指標を確立する.具体的に,本研究課題では以下の3点についての検討を行うこととしている. 1) 低周波音に固有の心理的反応である「圧迫感・振動感」による人への影響の解明 2) 低周波音による「圧迫感・振動感」の定量的な評価指標の構築 3) 低周波数成分を含む環境騒音の定量的な評価指標の確立 2023年度は低周波音実験室で2種類の被験者実験を実施した.一つ目は,卓越した低周波数成分が複数含まれている音の場合,圧迫感・振動感に可算効果が認められるか検討を行った.その結果,40 Hzだけが卓越している場合と比較して,40 Hzと80 Hzの二つの周波数帯域で卓越している場合は圧迫感・振動感がわずかに増加する傾向があり,二つの周波数帯域を合成した音圧レベルで圧迫感・振動感を説明できることが示唆された. 二つ目の実験では,道路交通騒音を刺激とした実験を行い,低周波数成分が含まれる音と,ハイパスフィルタに通して作成した低周波数成分が含まれない音とをランダムに提示し,圧迫感・振動感および不快感についての主観評価を実施した.その結果,現在,環境騒音の評価指標としてもっぱら使用されているA特性音圧レベルが等しい場合でも,低周波音を多く含む刺激の方が圧迫感・振動感が強く,また,不快感も高い傾向であった.さらに,共分散構造分析を適用した結果,低周波音と不快感とは直接的に関連しているのではなく,低周波音による圧迫感・振動感が不快感に関連していることを見出すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度までの実験で,A特性音圧レベルが等しい場合でも,低周波数成分の寄与が大きい場合にはより不快に感じられること,また,その原因が圧迫感・振動感に起因することを概ね明らかにすることができた.また,低周波数成分を多く含む交通騒音の評価指標として,A特性音圧レベルを代替できる指標についての検討も行うことができている.このため,本研究の最終的な目的である,「低周波数成分を含む環境騒音の定量的な評価指標の確立」については,2024年度の実験でおおよそ提案できるものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,道路交通騒音に関する低周波音の音源モデルを構築し,低周波数成分を含む環境騒音の影響評価に関するケーススタディを行う.まず,単体の自動車から発生する音について,自動車から放射される音の周波数特性をモデル化する.続いて,実際の交通状況を加味した交通流モデルを導入し,実環境に近い道路交通状況での騒音曝露量を推計する.推計した曝露量に関して,2023年度までの実験で検討・提案した低周波数成分を含む騒音の評価指標による換算を行い,また,同実験で示された曝露反応関係を適用することで,低周波音を含む環境騒音の影響評価の実践を行う. 2023年度までに提案されている評価指標については,その再現性を確認するため,2024年度にも被験者実験を行い,指標の妥当性の検証を行ってから上記のケーススタディに用いるものとする.
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Causes of Carryover |
主として,2022年度に2名で参加予定をしていた国際会議が新型コロナウィルスの影響でオンライン参加となったため余剰金が生じ,その分を最終年度に計上することとして再計画している.具体的には,2024年度にも被験者実験を予定しており,その被験者に対する謝金,実験実施のアルバイト謝金などに充てることを予定している.また,最終年度であるため研究成果を海外のジャーナルに投稿する予定である.論文執筆にかかる英文校正費や投稿料に充てるための予算として計上している.また,研究代表者の組織変更に伴い,実験環境も大きく変わったため,一部,本実験の実施を効率的にするための機器購入も検討している.
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Research Products
(3 results)