2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K04440
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
道岡 武信 近畿大学, 理工学部, 教授 (20371370)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都市環境 / 乱流 / 数値シミュレーション / 乱流構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市内には大規模な乱流構造が存在しており、街区内からの大気汚染物質の排出などに大きく寄与する。そのため、都市内の空気環境の改善を検討するにはその詳細な乱流構造を明らかにする必要があると考えられる。しかしながら、その大規模構造は非常に複雑であり、現在までにその詳細な構造を捉えることまでには至っていない。近年、乱流変動場に固有直交分解(POD)を適用することにより、大規模な乱流構造を抽出できる可能性があることが明らかになりつつあり、PODは有力な方法として注目されている。 そこで、本年度は単純化された立方体ブロックを直列配列で配置した場合の流れ場を対象に詳細数値シミュレーション(Large-eddy simulation)を実行し、そこから得られた乱流データをもとにPODを実施することにより、立方体ブロック(建物)周りの乱流変動の構造を抽出することを試みた。その結果、建物高さ0.25倍の水平断面において、ブロック高さの6倍程度の長さの乱流構造が流れ方向に並んで出現することがわかった。その構造はその高さにおける主流方向速度変動のエネルギースペクトルのピーク周波数に対応する空間構造となっており、PODにより適切に乱流構造が捉えられていることも明らかになった。また,その乱流構造はブロック間のスパン方向の流れと連動していることが明らかになった。本研究により、理想的な配置ではあるが建物周りの乱流の空間構造をPODにより適切に抽出できることが明らかになったため、次年度以降に様々な建物周りでの乱流の空間構造の抽出が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画通りに、PODを実行できるプログラムを自作して、理想的な建物周りの乱流構造をPODにより抽出できることを明らかにした。また、動的モード分解(DMD)を実行できるプログラムも作成できたため、今後、DMDでも乱流構造の抽出を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究は実施計画通りに、今年度実施できてきなかったDMDでの建物周りの乱流構造の抽出も試みる。また、立方体ブロックに対して、建物高さが2倍、建物幅が2倍の長方形ブロックにおいても同様な解析を実施することにより、建物高さおよび幅が建物周囲の乱流構造に及ぼす影響を詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)数値シミュレーションを実施するためのワークステーションの購入を予定していたが、本年度はPODやDMDを実行するためのプログラム開発に注力し、すでにある解析データをもとにその妥当性を検討した。それらのプログラムが開発中であったため、それらの解析に必要なデータを取得するために適切なスペックのワークステーションがわからない状態であったために予算を繰り越し、次年度に最適な解析用のワークステーションを購入することにしたためである。 (使用計画)解析用ワークステーション、データ解析用マシン、国内・国際学会参加費、英文校閲費用、ハードディスクなどの購入に使用する予定である。
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