2022 Fiscal Year Research-status Report
身体のプレクーリングおよびプレヒーティングによる入浴時の事故防止効果に関する研究
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22K04444
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
森上 伸也 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (50735107)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒートショック / 被験者実験 / プレヒーティング / プレクーリング / 血圧変動 / 室内温熱環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
温熱環境が原因による死亡事故が増加傾向にある。家庭内における不慮の溺死および溺水による死亡者数は交通事故による死亡者数よりも多く、5,000人を超えている。家庭内の不慮の溺死は主に入浴時に生じており、喫緊の課題であるといえる。入浴中の急死は、体温上昇及び低血圧による意識障害のために出浴が困難になり、さらに体温が上昇して致死的になる病態(熱中症)と考えられている。冬季のヒートショック対策として建物の環境的要因については検討されているが、人体側から検討された研究は多くない。 本研究では身体のプレクーリングおよびプレヒーティングが人体温熱生理反応に与える影響を明らかにし、冬季における入浴事故の対策や夏季における熱中症対策を提案することを目的としている。温度差を伴う室間移動の直前に温かい飲み物や冷たい飲み物を被験者に摂取させた場合に、身体に与える影響を調べるために被験者実験を行った。2022年度の研究では冬季の実験に焦点をあて、居室を想定した26℃の部屋から非空調室である脱衣室を想定した14℃の部屋への室間移動を伴う被験者実験を行った。摂取物は移動直前に温かい麦茶、アイススラリー、温かい生姜湯とした条件と、対照として摂取なしの条件で実験を行った。実験の結果では、暖かい部屋から寒い部屋への移動時における血圧変動は温かい麦茶を直前に摂取した条件が血圧上昇を最も抑えられることがわかった。今後サンプル数を増加して、高齢者などでも効果があるか検証していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していた被験者実験を実施し、有効な実験データの取得が完了した。今後はさらにサンプル数を増やしていき統計的な有意差を明らかにしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
夏季の実験を行い、プレクーリングが熱中症リスクの低減効果に及ぼす影響を明らかにするために測定を行っていく予定である。また夏季と冬季における浴室等の実測を行い、現状を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
実験回数が少なくなったため、本年度の被験者実験謝金の支払いが減少し次年度への繰り越しが生じた。また冬季の実験結果をうけて新たに夏季の実測や実験を追加で行うことで有意義な研究結果が得られる可能性があるため、次年度夏季の実験のために使用する。
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