2022 Fiscal Year Research-status Report
Applicability of VR Technology to Analysis of Pedestrian Behavior during Evacuation
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22K04460
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
水野 雅之 東京理科大学, 理工学研究科国際火災科学専攻, 准教授 (40366448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 皓介 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, その他 (10759575)
市村 志朗 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 教授 (30408702)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歩行 / 他者 / 回避 / 軌跡 / 画像解析 / 座標変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,VR技術を用いた避難行動分析における妥当性を評価するために,実空間における移動とVR空間における移動を比較分析することにより,両者の同等性を明らかにする一方で,VR空間での実験によって実空間での実験と異なる結果を得ることが予想される部分を明らかにすることにより,VR技術を用いた避難行動分析の結果を解釈する上での注意点などを明らかにすることである。 2022年度は,被験者のスタート位置とゴール位置を結ぶ直線上に,直線移動か立位で静止する他者1名を配置して,被験者1名がスタート位置からすれ違いまたは追い越しで他者を避けてゴール位置に移動する状況を対象に実空間実験を実施した。すれ違いの場合は他者が概ね1.0m/sで歩行し,追い越しの場合は他者が被験者の全歩5mより概ね0.5m/sで歩行し,その結果,追い越しでは通路の長さは12mとし,幅を2m,3m,4mを採用し,被験者のスタートとゴールの中心を壁から0.5m,1.0m,1.5m離れた位置に設定した。被験者は,第一段階として7名とした。 実験の結果,他者が立位で静止した条件で,すれ違いと追い越しを比較すると,後者の方がより手前で出口に向かう方向転換を終え,被験者の移動軌跡が他者とすれ違う手前の5m辺りでまとまる傾向が見られた。一方,他者が同じ方向に歩行する追い越しでは,相対的な速度が小さいため,より近づいた条件で回避し始め,進行方向の離隔距離で概ね3.5mとなった.他者を避ける回避距離は,幅2mの通路では他者と壁との距離が狭く物理的な制約があり概ね0.6mとなったが,他者と壁との中心間距離が2mとなる通路幅3mと4mでは平均して0.8~1.0mと同程度であった一方,他者が同じ方向に歩行する追い越し方がやや大きくなった.同じ方向に移動しているため,接触や進路妨害を避けるためのマージンをより確保したと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実空間での実験データを取得し,実空間での実験をVRで再現するための空間制作を終えており,順調に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には,VR空間における移動実験において,コントローラーを用いて移動する場合と,実際に歩行してその移動がVR空間に反映される場合の2つのVR避難行動実験を実施する。実空間での避難行動実験の結果から得られた歩行状態の特徴に関して,VR空間においても同様の傾向を表す結果が得られるか,あるいは異なる挙動を示すのか分析する。 2024年度には,出口前の滞留状態を対象に,他者との離隔距離などを,実空間とVR空間での移動として比較する。
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Causes of Carryover |
被験者の移動軌跡や姿勢(骨格検出)を分析するためのソフトを導入することを検討したが,それを使用するためのパソコンの性能とその設定(GPUとその設定)に関して販売元と協議してきた結果,適切な製品の選出が年度末となったため,整備を次年度に見送った。 VR空間の制作に関して,外注費用を計上していたが,VRシステムの実装費用に予定していた額よりも費用が必要なことが判明したため,できる限り自前でVR空間を仕上げることとし,次年度にまとめて外注することとした。 これらに伴って,物品の購入やVR制作の外注に予算を当初計画よりも多く充てるため,実空間実験に伴う謝金の支払いを所属組織の研究費から補填した。
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