2023 Fiscal Year Research-status Report
障害者の地域居住における「自立生活援助」の実態と効果
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22K04469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 雄二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70516210)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自立生活援助 / 障害者 / 地域居住 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、主に施設や障害者グループホームから地域での一人暮らしに移行した障害者に巡回訪問や随時の対応を行うサービス「自立生活援助」について、事業者や利用者の特性、障害者の一人暮らしへの移行への寄与の程度、障害者の一人暮らしへの移行を援助する上での課題の、3点を明らかにすることを目的としている。 3カ年の研究期間のうち、2年目の2023年度においては、2022年度に把握した全国の自立生活援助事業所(490事業所)に対して、悉皆アンケート調査を行った。結果として、132事業所から有効回答を得ることができ(有効回答率 26.9%)、利用者については500名のデータを得ることができた。事業所の特徴について、昨年1年間の平均の自立生活援助利用者数は6.2名であり、共同生活援助から一人暮らしへと移行した利用者が存在した事業所は56事業所(42.4%)である。自立生活援助効果について、「とても降下を感じる」「やや効果を感じる」とした事業所は109事業所(82.6%)と、事業に対する評価は全体に肯定的である。利用者の平均障害支援区分は(区分無しを“0”とカウントした場合)1.9と低く、サービス利用以前の住居は一人暮らしが103名(20.6%)と最多で、次いで障害者グループホームの98名(19.6%)となった。サービス利用以後の居住形態は、一人暮らしが399名(79.8%)と最多で、次いで家族同居(71名、14.2%)である。サービス利用期間については、平均で15.2ヶ月となり、制度が「標準利用期間」として想定する1年間を大きく上回っている。今後は、アンケート結果の分析を進めるとともに、グループホームから一人暮らしへ積極的に移行を援助している事業所を対象として、ヒアリング調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、2年度以降ににそれら自立生活援助事業所に対する悉皆アンケート調査といくつ かの自立生活援助事業所に対するヒアリング調査、加えて障害者の一人暮らしのための住まいの情報提供に積極的な不動産業者へのヒアリングを行う予定であった。この予定に対して、すでに2つの事業所に予備的なヒアリング調査を実施している。不動産業者についてはまだヒアリングを行えてはいないが、全体として順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
調査最終年度である2024年度は、アンケート調査の結果に基づき、自立生活援助事業所に対して10件ほどのヒアリングを行う予定である。またヒアリングの中で、障害者の一人暮らしのための住まいの情報提供に積極的な不動産業者を特定し、併せてヒアリングを実施する予定である。
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