2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K04478
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
諫川 輝之 東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (20733504)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 災害 / リスク情報 / 居住地選択 / リスク認知 / 水害 / 津波 / アンケート調査 / 質問紙実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害による被害を軽減するために、「どこに住むか」は非常に重要な問題である。しかし、人々が居住地を選択する際には、利便性や経済性など安全性以外の多数の要素があるため、災害リスクを考慮するのは後回しになりやすいと考えられる。本研究では、地形とリスクが密接に関係する洪水・津波などの自然災害に着目して、居住地選択において災害リスクがどの程度考慮されているのか、ハザードマップ等のリスク情報がどのように参照されているのかを実際に転居した人へのアンケート調査および仮想の物件情報を用いた質問紙実験を行なうことにより明らかにする。これにより、長期的に災害リスクが低い地域に人々を誘導して行く際にどのような情報提供やインセンティブの与え方があり得るのかを検討するための知見を得ことを目的としている。 1年目の今年度は、以下の内容を実施した。 1.東松山市で実施したアンケートデータの追加分析 洪水リスクに着目して東松山市で実施した居住地選択のアンケートデータを追加分析し、個人・世帯属性や転居の理由と居住地選択時に重視した要素との関係を詳細に分析した。アンケート結果から因子分析を行ない、居住地選択に影響する4つの因子を得た。そして、因子得点をもとに、災害リスクの重視の有無などが異なる5つのグループに分類した。このうち、災害リスクを軽視する傾向があるグループは地域イメージや住宅そのものを重視した住民と全般的に関心が低かった住民がおり、若年層・ひとり暮らし・借家居住者などで多いことが明らかになった。 2.次年度の調査に向けた準備 次年度に行う全国の浸水区域地域におけるWebアンケートの実施に向けて、調査仮説の設定、および質問項目の吟味を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに東松山市におけるアンケートデータの追加分析を行ない、査読論文の原稿を仕上げることができた。また、次年度に行う調査の準備も進めており、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.で得られた成果について学会発表を行ない、論文に投稿する。また、全国の浸水想定区域の住民を対象にWebアンケート調査を行ない、災害リスク情報の認知状況や居住地選択時に重視した要素を比較考察する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍を考慮し、当初計画していた国際会議出張を見合わせたため、残額が生じた。これについては、次年度実施予定のWebアンケート調査の充実に充てる予定である。
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