2022 Fiscal Year Research-status Report
大学等による旧軍用地の転用実態とその背景・影響に関する研究
Project/Area Number |
22K04479
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
今村 洋一 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (00568404)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 国公立大学 / 旧軍用地 / 罹災 / キャンパス / 戦後史 / 復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、旧軍用地の大学等のキャンパスへの転用実態とその背景が如何なるものであったかを解明するために、個別事例研究と横断的研究の双方から、(1)なぜ、その旧軍用地を転用することとなったのか?(2)どのように、その旧軍用地を使用してきたのか?(3)その旧軍用地を使用することで都市構造や市街地形成にどのような影響が及んだか?の3点に対して具体的に検討をしていくものである。また、転用の背景には、大学側(罹災学校の代替、大学昇格に向けた拡充など)だけでなく地域側(軍都から学都への転換などの政策)の事情もあるため、両側面から考察を加えることとしている。 令和4年度は、全国の国公立大学の校史等を収集し、終戦時の旧制前身校の校地位置、罹災状況、終戦直後の授業実施状況、新制移行に向けた動き、戦後の校地変遷、旧軍用地転用に至るまでの経緯、旧軍用地の使用実態などの整理を試みた。また、併せて、各都道府県史および各都道府県教育史、校地の存する市町村史、戦災を受けている場合は戦災復興誌などの収集もおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年度は、国公立大学を対象として、研究に取り組んだが、各大学の学校史や学部史に加え、各都道府県史および各都道府県教育史、校地の存する市町村史、戦災を受けている場合は戦災復興誌など、地域側の史料も収集したため、史料収集作業だけでも多くの時間を要した。さらに、これら史料を読み込み、各国公立大学の旧制前身学校の罹災状況、戦後の新制大学への移行過程、各校地の変遷などについて、整理するにも膨大な時間がかかり、年度内に整理を終えることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、令和4年度に実施予定で、積み残した作業を先行的に進める。具体的には、全国の国公立大学を対象とした旧軍用地の転用について、その経緯や実態を整理する作業を早急に終え、その中から数校については、現地調査をおこなって、旧軍遺構の残存実態や周辺市街地への影響を明らかにしていく。 また、令和5年度に実施予定の作業を並行して進める。具体的には、1都3県の私立大学を対象に、史料収集、旧軍用地転用に係る経緯の整理をおこなう。
|
Causes of Carryover |
当初、令和4年度は、旧軍用地を転用した国公立大学キャンパスの現地調査を数か所おこなう予定であったが、史料からの整理が終わらず、そこまで至らなかった。そのため、次年度も、引き続き史料からの整理をおこない、そのうえで現地調査をおこなう必要が生じたことが、次年度使用が生じた主な理由である。 まずは、各国公立大学の旧制前身学校の罹災状況、戦後の新制大学への移行過程、各校地の変遷についての整理を終えるために、研究補助の人件費を支出する予定である。また、旧軍用地を転用した国公立大学キャンパスの現地調査に係る旅費を支出する予定である。 そのうえで、1都3県の私立大学についても、同様の作業をおこなうため、史料収集(郵送)費、複写費、研究補助の人件費、現地調査の旅費を支出する予定である。
|