2022 Fiscal Year Research-status Report
小学生の育ちを支える学校内学童保育所の学校連携と地域拠点性の実現可能性
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22K04480
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塚田 由佳里 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (10757149)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 学童保育 / 学校 / 学校連携 / 拠点性 / 施設整備 / 放課後の居場所 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の社会進出、核家族化の進行に伴い、小学生の放課後の居場所である学童保育は今やなくてはならない施設となった。学童保育の開設場所は小学校余裕教室が最多であり、安全安心な居場所確保と国の学校施設活用促進策を受けて、学校敷地内にあるケースが過半数を占める。学校敷地内に学童保育所があることは、下校時に交通事故にあう心配がなく親は安心である。しかし、教育活動や学校ルール・文化により学童保育の保育・活動が制限を受ける、余裕教室の活用する場合、火が使用できない等、必ずしも遊びや生活に適した空間に整備されていない、余裕教室の位置により校庭や特別教室が使用できないなどの学校内学童保育の課題が考えられる。加えて、子ども達は1日中、学校内で過ごすため地域生活時間が減少し、地域の人やもの・こととの出会いや、多様な体験の機会が喪失する等、豊かな放課後生活を阻害することにつながる懸念がある。 本研究では、学校敷地内に立地する学童保育施設の計画課題を、①地域拠点性の成立要件、即ち子どもが地域の人やものと関わりながら放課後を過ごす拠点となる条件と、②学校との交流・連携状況に焦点を当てて探り、空間タイプ別の施設整備指針を得ようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は学校敷地内に立地する学童保育の施設整備方針を得ることを目的としている。初年度の2022年度は、大阪府下における学校敷地内学童保育所672か所を対象にアンケート調査を実施した。分析の結果、①学童保育の開設場所は「余裕教室」が最多で「学校敷地内独立施設」は少しあり「学校施設内専用室」はわずかである。複数の建物を使用する事例が2割弱あるが、単独建物で保育するケースが主流である。②設備の設置率は、冷暖房設備は設置が進んでいるが、専用トイレ、避難口、足洗い場、温水シャワーは未設置が過半数ある。調理設備は半数近くになく、1日保育時の昼食を調理するケースはごく僅かである。施設タイプ別では、独立施設タイプで設置率が比較的高い。施設タイプによらず、静養室、事務室、室内でクールダウンできる場所、高学年専用スぺースの確保は十分でなく、ワンルームである余裕教室タイプは最も整備が遅れている。③学校施設を利用できることは学校敷地内学童保育の利点であるが、トイレ・校庭は授業時間外であれば自由に使用できるケースが多いが、体育館・教室/特別教室では事前申請して使用許可を得る必要がある、または利用できない場合が多数である。④指導員の多くは保育室内の動的行為と静的行為の分離が必要だと考えているが、現状では多くが分離できていない。分離している事例でも部屋毎に分離できている事例は多くなく、床材や家具、パーティション等で空間を分節していたが完全な分離はできていない。⑤少数だが設えにより小空間を作る工夫が見られた。家具で仕切る他、カーテンや段ボール等の容易に設置・移動できる仕切りが使われていた。静養、クールダウン、着替えの場所を十分に確保できない状況については抜本的な改善が必要であり、こうした小空間は現場で対応できる工夫として注目される。 上記の調査結果を日本建築学会大会及び学童保育学会に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アンケート調査の結果をもとに、施設タイプの異なる典型事例を抽出し、協力が得られた学童保育所10事例程度を対象に訪問ヒアリング調査を行い、空間利用や保育方法、学校及び地域との交流・連携状況の詳細を把握する予定である。 さらに、保育室の平面図を入手し、子どもたちが学童保育施設をどのように使用しているかを観察調査から把握する予定である。これまでの調査結果については、学会にて口頭発表を行った上で、査読論文として取りまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は調査対象施設の選定のため新たにアンケート調査を追加した。これに伴い、訪問ヒアリング調査の一部を2023年度へ持ち持ち越した。2023年度は訪問ヒアリング調査及び観察調査を行うため、次年度使用額を旅費及び謝礼として使用予定である。
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Research Products
(3 results)