2022 Fiscal Year Research-status Report
既存住宅インスペクションの検査時に生じる「ゆらぎ」の解明と「制御法」の開発
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22K04502
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
多田 豊 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (30847265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 研二 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (30311088)
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (10259822)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インスペクション / 性能向上インスペクション / リフォーム / 空き家 / 古民家再生 / 建築士 / 脳波測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存住宅は新築時の性能の違いに加えて維持管理により差が生じるため,流通市場では既存住宅を実際に検査し,品質,性能を明らかにするインスペクションへのニーズが高まっている.通常,1つの住宅を1人の検査者が検査するが,研究代表者は複数の検査者に同一の検査対象箇所(床,壁等)を同一の検査方法(目視,打診等)で検査させた場合に,検査者により検査の結果が異なる事例(検査ゆらぎ)があることを把握しており,こうした検査ゆらぎは国民のインスペクションへの信頼性を大きく低下させるため,インスペクション技術基準に対して工学的見地から検討が必要である.特に本研究では,既存住宅状況調査等に用いられ,社会的なニーズの大きい一次的なインスペクションに着目し研究を進める. インスペクションにおける検査ゆらぎの要因として①検査機器の使用方法の正誤,②検査対象箇所の検査可能範囲の多寡,③検査者自身のバイアスを仮定し,学外の検査者を対象に,A)現行の検査基準とB)新しい検査方法の検査実験を行う予定であったが,新型コロナウィルス感染症拡大により本格的な実験を行うことができなかったため,学内人材を対象にインスペクションに関する予備的な実験を行った.床面及び壁面の勾配に関する調査のうち,A)についてはメジャーによる計測,水準器による計測,レーザーレベルによる計測について,B)については3Dスキャナーによる計測を行い,いずれの場合も検査ゆらぎが発生する可能性がある傾向をつかむことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では,学外の検査者を対象に,壁・床の勾配に関する検査を実施する予定であったが,新型コロナウィルス感染症拡大のため,申請者側及び学外の検査者ら側共に実験を行うことができなかった.そのため,学内人員での基礎的な実験を繰り返すにとどまった.
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Strategy for Future Research Activity |
学外の検査者を対象に,A)現行の検査基準とB)新しい検査方法の検査実験を複数回行い,検査ゆらぎのデータを取得する.その上で,先に述べた仮設①②③の及ぼす影響を共分散構造モデルにて数量的に分析,解明する.データを活用し制御法を開発し,実証実験によりゆらぎ制御効果(10%未満)を確認する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大のため,当初予定をしていた外部技術者によるインスペクション調査を実施できなかったため,次年度使用額が生じた.令和5年度に当該実験を実施し外部技術者への謝金として使用する予定である.
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