2023 Fiscal Year Research-status Report
離島の社会資本整備に伴う漁業集落の空間構成の変容に関する研究
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22K04503
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
森田 健太郎 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (20895445)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 離島 / 漁業集落 / 離島振興法 / 社会資本整備 / 壱岐 |
Outline of Annual Research Achievements |
4月から9月の期間で、昨年度、国土地理院旧版地図を基に新たに3浦(勝本浦、印通寺浦、郷ノ浦)の漁業集落とその後背地を含む空間構成の変遷を1935年、1972年、2005年の3年代に分けて図示化したもののブラッシュアップを行っている。 現在、投稿の準備中である論文では、主要な社会基盤整備や公共施設の変化、特に浦における変化として港湾整備や漁港整備、公共施設(役場、学校、住宅)の情報を入手するため、9月に長崎県壱岐振興局建設課にて過去の工事履歴の書類を拝見した。10月より、これらの情報も作成した地図に記述している。これらは昨年同様にアドビのソフトを使用して仕上げている。 また、国勢調査の小地域集計のデータを用いて、旧4町中心部における3つの機能の割合に注目して分析を行った。詳細を説明すると、漁業従事者と第3次産業従事者の割合に着目して、QGISにより、図示化している。加えて、物理的な変化と機能的な変化(産業の従事者の割合)を合わせた概念図を4浦比較のため作成している。この概念図化により、まとめを論じている。 上記の一連の現地調査は、論文を記述する上で有益な情報を得ることができ、成果をあげることができた。また、図示化と同時に論文投稿のための執筆も行っている。学会への論文投稿については、昨年度投稿予定であったが、上記の調査内容を加えた論文を現在提出の準備中であり、令和6年度7月頃の予定である。学会への論文投稿もあるが、同時に博士論文を執筆作業を行っており、これまでの研究も合わせて議論している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度(2年目)の計画では、まず机上調査②である離島振興法における社会資本整備(政策・補助金)が壱岐の人・物・経済の流れに与えた社会的・経済的結果を総合的に検討とあるが、現地調査による変遷履歴を作成した地図上に4浦3年代ごとにプロットし、物理的な変化について議論している。また、国勢調査の小地域集計のデータを用いて漁業従事者と第3次産業従事者の割合をこれも4浦3年代ごとに表し、浦の機能について議論している。また、新たに文献を読み込むことにより、深い議論を可能にしている。 現地調査②ヒアリング調査、個々の漁業集落・農業集落の可視的・不可視的変化を調査は、2回の現地調査により壱岐市役所勤務で芦辺町瀬戸浦の埋立地にお住まいの方にヒアリング調査が実施でき、建設当時の話を伺うことができた。また、長崎県壱岐振興局建設課にて港湾・漁港整備における工事記録の確認作業を行い、4浦の変遷も追記することができた。これらにより詳細な議論を可能にしている。 分析作業②普遍性、特異性を分析では、物理的変化を見るための地図と機能的変化を見るための地図の作成が完了し、4浦、3年代ごとの地図を並べ、それぞれの浦の物理的変化と機能的変化の分析ができている。これらの地図より浦の変化をタイプ分けし、考察することを可能にした。加えて、この2つの分析を同時に入れた概念図も作成しており、より深い議論を可能にしている。 研究成果の発表①研究代表者が2年目までの研究成果を査読付き論文として投稿については、分析内容を追加したため、昨年度の投稿を見送っている。しかし、今年度初期の作業を含めて、今年度の7月に投稿を予定しており、これらの理由により、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度(3年目)については、机上調査③として、有人国境離島法が壱岐の人・物・経済の流れに与えた影響についても分析を行う。学会の査読付き論文までは離島振興法による影響であったが、博士論文においては、有人国境離島法についても扱う予定である。 現地調査③は、引き続きヒアリング調査、フィールド調査、取りまとめに必要不可欠な補足調査を行う。学会への論文投稿に加え、本年度にまとめる博士論文における補足調査が必要となる。 分析作業③は、昨年度から今年6月までの分析内容と生業との関係の考察を深め、今年度の7月に査読付き論文として投稿する予定である。その後は、博士論文の執筆の作業を進める。 研究成果の発表③は、研究代表者が3年目までの研究成果を査読付き論文として投稿する。その後、本年度中に博士論文の提出を予定している。そのため、この3年間に行って来た議論についてのまとめの作業が必須となる。学会への査読付き論文の投稿が済んだ場合、国際学会への投稿も同様に行う予定である。
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