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2023 Fiscal Year Research-status Report

The Design Methods of the Ancient Egyptian Columns

Research Project

Project/Area Number 22K04514
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

安岡 義文  早稲田大学, 高等研究所, その他(招聘研究員) (20786496)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords古代エジプト / 柱のオーダー / 設計技法 / プロポーション
Outline of Annual Research Achievements

令和5年度、前年度に行ったエジプト・アコリス遺跡での実測調査により得られた3種類のシストルム柱頭に関するデータを分析し、その結果をまとめた。大きさが異なる3種類の柱頭は、一つが岩窟神殿の岩盤をくりぬいて作られたもの、二つは切石で組積造の柱に用いられたものである。組積造で用いられたものの内、大きい方は装飾・彩色が施されており列柱室やキオスクに用いられ、建造は完成していたと考えられる。小さい方の柱頭と岩窟のものも、成形作業がほぼ終了していたと考えられる。岩窟神殿内部の柱頭のプロポーションは切石の類例から知られるカノンと比べると、ハトホル女神の顔は一致しているが、祠堂と顔の高さ比が異なり、祠堂が低めにデザインされていることが明らかになった。
また、シストルム柱頭の中には、4面型として設計されているにもかかわらず実際に成形されているのは2面か3面である例が確認された。これは一部附柱として神殿のファサードや列柱室の隅柱に用いられたと考えられる。また、同遺跡から発見されている2基のイオニア柱頭に関しても、同様のことが言える。なお、組積造の柱頭の内、小さい方は岩窟神殿の正面のファサードに残る附柱と寸法が合うため、ここに用いられていた可能性が高い。
シストルム柱頭もイオニア柱頭も、女性的性格を有しており、これまでの研究で明らかにされているアメン=ラー神やソベク神といった男神の神殿の他に、女神の神殿の存在が浮かび上がってきた。また、ファラオ様式と西洋古典古代の様式が同一の神殿に用いられていた可能性もあり、ギリシア・ローマ時代のエジプトにおける異文化の融合によって建築のデザインや柱のオーダーの概念や神殿の設計技法にも変化が表れている可能性を見出した。
なお、この研究成果は口頭および論文として発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現地調査により独自のデータが入手できており、成果も順次発表できているため。

Strategy for Future Research Activity

ギリシア・ローマ時代の柱の設計技法は、当時の建築関連資料が比較的残りが良いため正確に復元されつつある。現時点で、グリッドを使う柱頭タイプと使わないものがあることがわかっているが、後者については、依然として不明な点が多く、今後分析に着手していきたい。また両タイプの柱頭が柱身、柱礎、柱間などの寸法にどのように関係してくるのかについて遺構例を厳選して分析していきたい。
一方、中王国時代の柱に関しては、2023年の4月と9月にニューヨーク・メトロポリタン美術館の主催するエジプト・ダハシュールのセンウセレト3世のピラミッド複合施設の調査に参加し、柱の断片を分析した。集められた断片を分析した結果、ロータス柱の正確な復元には、柱下部径や柱頭と柱身の接合部などの特定の部位の断片が欠如していることが判明したため、今後の調査で続け新たな断片を獲得していきたい。
中王国時代の柱は、ギリシア・ローマ時代のシストルム柱と異なり、雛型(カノン)の存在が確認されていないため、柱を一例ずつ丁寧に分析していく必要がある。また、ギリシア・ローマ時代の柱頭の設計方法がいつの時代まで遡ることができるのかを見極めるため、末期王朝時代や新王国時代の柱頭の設計方法の解明にも着手していきたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] エジプト・アコリス都市遺跡からみつかっているシストルム柱について2023

    • Author(s)
      安岡義文
    • Journal Title

      日本建築学会大会学術講演梗概集

      Volume: F-2分冊 Pages: 143-144

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] The Sistrum and Ionic Capitals found from Akoris2023

    • Author(s)
      Yoshifumi Yasuoka
    • Journal Title

      Preliminary Report Akoris 2022

      Volume: 1 Pages: 23-28

  • [Presentation] エジプト・アコリス都市遺跡からみつかっているシストルム柱について2023

    • Author(s)
      安岡義文
    • Organizer
      日本建築学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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