2022 Fiscal Year Research-status Report
住家野取台帳図による大正期の旧山野村全域での民家間取りの再現と分析
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22K04522
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
岡辺 重雄 福山市立大学, 都市経営学部, 教授 (70618131)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 民家間取り / 住家野取図 / 旧山野村役場文書 / 大正時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
大正11年に旧山野村(現広島県福山市山野町)全域の民家間取りを調査した「住家野取図」が発見された。一般的な古民家研究は地域の特定の建物を調査するにとどまることが多いが、今回約600軒に及ぶ史料から、大正期の民家間取りを村内全域で包括的に理解することが可能となった。そのため、これまでは見落とされがちだった中小規模の建物を含め、集落ごとの間取りの状況を詳細に理解し、既往の説を検証することが可能となった。 2022年度は、大正11年に存在した農家造りの民家549軒を抽出し、本家(母屋)の間取りの特徴について集計整理した。 得られた知見は以下のとおり。第1に、江戸から明治期は並列型間取りが主流だったところ大正期に四間取り型に置き換わったという説があったが、小規模な広間型(土間と一間)、桁方向に2間続きの並列型、梁方向に2間続きの縦列型や四間取りにおいても同規模の部屋のものや、北側は納戸と称したもの、さらには不完全な四間取り型や四間より部屋が多い多間取り型のものなど、多様な混在状況が把握された。第2に、小規模な広間型から四間取り型に拡大する過程で、並列型を経るものと、縦列型を経るものがあると考えられ、一気に拡大するだけではない段階的な拡大が示唆された。第3に、間取りの変化が西進した(岡山方向から伝播した)との説があるが、集落を街道筋や谷筋などの地区に区分すると、間取りの傾向は、岡山への近接性だけでなく、地形や集落の形成時期なども影響している可能性が示唆された。 なお、成果を日本建築学会中国支部研究報告集に論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大正11年の調査に基づき帳票が作成されているが、改変等が見られ、徴税の基礎資料として昭和初期まで使われていたことが読み取れた。大正11年の状況を理解するためには、その後に行われた建て替え等の前のものを特定する必要があった。建て替えや新築の記載の特徴を明らかにし、大正11年の状況が復元できたことが順調な進展に繋がった。なお、この過程で、大正11年から昭和初期にかけての建築の新築や改築が個別具体的に抽出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、大正11年以降の建築や間取りの変化について、悉皆的に調べ、その傾向を整理する。まず、野取台帳図には集落と所有者名しかなく、住所が不明なため、住宅地図等で家系に基づき、また地域におけるヒアリング調査を通じて、所在地の特定を行う。次に、大正11年建物が存在しているか否か、また間取りの変化はどのようなものであるかをアンケート及び現地調査により明らかにする。間取りの変化だけでなく、建物の規模拡大に伴う、屋根や部材の利活用(もしくは更新)の状況も調査したい。
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Causes of Carryover |
住家野取図では集落と所有者名が記載されているものの、住所が明らかでなく、現地調査やヒアリングで特定する必要がある。大学院生を導入して調査をすることを考え、交通費を計上していたが、あいにく適当な人材が見つからなかったため、交通費が使われていない状況である。 本年度は、研究分担者を加え現地調査を行うための交通費として使っていく計画である。
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