2023 Fiscal Year Research-status Report
Experimental study of compression strength after edge impact on CFRP laminates
Project/Area Number |
22K04538
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
岩堀 豊 明治大学, 理工学部, 専任教授 (50358636)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | CFRP / 衝撃損傷 / 残存圧縮強度 / 端部破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
航空機構造への炭素繊維強化プラスチック(CFRP)適用が増加する中、CFRP積層板を用いたスキンストリンガ構造端部に外部から物体が衝突し内部損傷が発生した場合の残存圧縮 (CAEI) 強度低下が課題となっている。しかし,その強度低下に関する各種パラメータとの関係やそのメカニズムは十分に解明されておらず,データも非常に少ない。そのため,CFRP積層板の板厚,積層配向及びCFRP積層板端部に与える損傷量,ストライカ(衝突物)の先端形状などをパラメータとして,衝撃損傷を与えその損傷の状態や損傷付与後の圧縮強度を計測して,CFRP積層板端部衝撃後圧縮強度(CAEI強度)関する研究を進めている。 昨年度までは,板厚の幅しかないCFRP積層板の端部に落錘衝撃型衝撃付与装置(INSTRON 9250HV)装置によって,精密(±0.5㎜以内)にCFRP積層板端部へ衝撃付与が非常に困難であったが,一昨年度後半から昨年度にかけて,衝撃付与装置の落錘位置の精度向上のための改修(治具追加)を行い,所定の精度をもって落錘衝撃を付与できるようになった。その結果,CAEI強度の低下について衝撃付与側のエネルギ量、衝撃を受けるCFRP積層板の板厚条件をパラメータとして衝撃付与及び衝撃付与後の圧縮強度試験を進めることができるようになった。 今期は,板厚4種(24ply,32ply,48ply,56ply)及び切り出し方向の異なるCFRP積層板試験片の追加製作とともに,インパクト位置の確認,エネルギ付与時のエネルギ吸収量の計測,衝撃付与後の損傷状態の観察(断面研磨による損傷剥離の寸法や位置計測),超音波探傷による損傷面積の計測を行い,各パラメータがCFRP積層板の損傷及び圧縮強度へ与える影響を把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に続き,落錘衝撃試験機を改造し,CFRP板厚の中心(±0.5 ㎜以内)に衝撃付与できることを確認した後,4種板厚のCFRP積層板について,衝撃エネルギを10 J,20 J,30 Jと変化させ衝撃を付与した。衝撃付与後のCFRP積層板について,衝撃付与部分の観察,板厚増加率(衝撃後板厚/元の板厚),超音波探傷による損傷部面積を計測し考察した。 今回付与した10 J~30 Jによるエネルギ量によって衝撃損傷の破壊様相は大きく異なるものの,残存強度としては急激に低下することなく徐々に低下する傾向となり,今回設定した衝撃付与エネルギに対する残存強度の低下は,比較的感度が鈍いことが判明した。本材料に対するCFRP積層板の無損傷時の圧縮強度は約600 MPa程度であり,衝撃10 Jにおける CAEI強度は約1/3程度のため,0~10 Jの範囲の付与衝撃エネルギによって,急激な残存強度低下が発生するものと考えられる。そのため,10 J以下のエネルギ量を設定して,2.5 J,5 J,7.5 Jを新たな衝撃エネルギを設定し,衝撃付与及び残存圧縮強度の計測を進めている。 現在では,付与エネルギ7.5 J,5 Jとすると,各板厚の残存強度が上昇していく傾向があり,10 J以下での比較的低い損傷エネルギ付与によって急激な残存強度低下をもたらす特性があることが予想される。 板厚とエネルギ量付与条件によって層間剥離が試験片全体に広がるケースについて残存圧縮強度の計測を進めた。その結果,残存圧縮強度としては,同エネルギ量における供試体と大差なく,残存強度については,比較的変化は少ないことが確認された。一方,特定の条件で剥離が大きく進展する理由については,未だ原因不明であり,衝撃エネルギ量とCFRP積層板の衝撃後の損傷状態(端部板厚増加,損傷形状,損傷面積)との関係について引き続き調査を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
エネルギ付与量と損傷面積の増加量のデータを取得した結果,板厚が大きく特定のエネルギに対して,非線形的に損傷が拡大するケースがあり,損傷面積の急増がその後の圧縮強度に大きく影響しないことが判明したものの,損傷状態は他のエネルギのケースと大きく異なっており,この損傷面積の急増が発生する原因を調べていく。また,昨年度までの研究では,φ16 ㎜のストライカ(CAI試験と同じもの)による,CFRP積層板端部へ衝撃後の大まかな損傷の傾向は把握できつつあるので,ストライカが接触してからの剥離の進展の様子を把握するため,CFRP積層板の端部における損傷状態をより詳しく計測し,構造解析などの参考データとする。また,インパクタ先端形状による損傷形状や面積の変化,その残存強度取得を並行して実施し,最終的なまとめを行っていく。
|
Causes of Carryover |
試験装置の治具などを工夫することで,消耗品や加工費の価格を抑えることができた。これらの予算は翌年度分として,先端部形状を変更したストライカ製作や試験片の再作,ゲージ多点化するための費用として使用したい.
|
Research Products
(4 results)