2022 Fiscal Year Research-status Report
複合材構造の軌道上変形予測のためのマルチスケールモニタリングと吸湿状態推定
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22K04546
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
北本 和也 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (80869834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水口 周 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70512359)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 複合材料 / 吸湿変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチスケールでの吸湿特性評価のため、材料試験片及びトラス構造部材の複数の試験片サイズでの吸湿評価を実施した。材料試験では、吸湿過程の材料内の水分子の運動性をNMR(核磁気共鳴)分析を用いて評価することで、CFRPの母材樹脂に官能基に拘束された水分子(Bound water)とクラスター化した自由水(Free water)の存在比を同定することができた。また、試験片内部に埋め込んだ光ファイバセンサを用いて吸湿ひずみのリアルタイム取得と引張試験/動的粘弾性試験による弾性率変化についても評価を行い、吸湿率に比例しない非線形な吸湿ひずみ応答及び、吸湿による弾性率の低下(可塑化)を確認した。これらの分析と試験結果より、吸湿過程中の拘束水と自由水の存在比の時間変化と、吸湿ひずみ、弾性率などの機械特性の変化の相関を評価することで、材料内に存在する拘束水と自由水の機械特性への影響を明らかにした。これによって、吸湿率に比例しない非線形な吸湿ひずみ応答について、二相拡散理論を用いたモデル化が可能となった。材料試験から得られた吸湿特性(拡散係数の異方性、吸湿ひずみの非線形性)を反映した高精度な予測モデルの構築を行い、光ファイバセンサを用いたトラス構造部材の吸湿特性と比較評価を行った。その結果、予測値と実験値は良い一致を示しており、構築したモデルの妥当性が確認できた。 また、フルスケールでの吸湿特性を評価可能なモニタリングシステムの構築のため実機サイズのトラス構造の試作を行い、次年度に開発する吸湿状態の推定のためのアルゴリズムの検証用テストベッドの構築が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
材料分析を含めたマルチスケールでの整合性のある吸湿予測モデルの構築が進んでおり、次年度以降の評価用のテストベッドの構築も完了していることから、当初計画通りに吸湿状態の推定のためのアルゴリズム開発に着手できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのマルチスケールでの評価結果から構築した予測モデルと複数の試験データを用いて、吸湿状態の推定のための有限要素法のシミュレーションと統合した多層ニューラルネットワークによる学習アルゴリズムを開発を行う。
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