2022 Fiscal Year Research-status Report
超音波・光・画像のセンサーフュージョンによる海水中浮遊濁物質の種別濃度計測手法
Project/Area Number |
22K04565
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
新井 励 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60508381)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ADCP / 浮遊懸濁物質 / 濁度 / 水中画像 / CNN / センサーフュージョン / 動物プランクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題の目的は,3次元超音波流向流速計(Acoustic Doppler Current Profiler,以降ADCPと呼ぶ)と光学式濁度計,水中カメラをセンサーフュージョンすることで,海水中の浮遊懸濁物質の濃度,粒子径,種類(動物プランクトン,植物プランクトン,稚仔魚,マイクロプラスチックを含むその他懸濁物質)を計測する手法の開発である。 海水中の浮遊懸濁物質の情報は,水産資源分野では稚仔魚の加入量や乱獲を防ぐ漁業資源管理に,海洋開発分野ではメタンハイドレートや熱水鉱床開発の管理に,沿岸環境では浚渫・埋め立て工に伴う底泥の巻き上げ,河川からのマイクロプラスチックや土砂流入といった環境管理にと多岐の分野に渡り社会的ニーズがある。しかしながら,現場計測できる浮遊懸濁物質の指標は光学式濁度計による「濁度」のみであり,浮遊懸濁物質の情報量が圧倒的に不足しているのが明らかであり,本申請課題はこれを解決すべく手法の開発である。 今年度の成果としては以下2点である。 1.水中カメラによる撮影画像装置を開発し,自動で,動物プランクトン,その他懸濁物質を判別するアルゴリズムを開発した。画像前処理として主成分画像分析を,画像判別にはAIで用いられる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用した。また,画像から各種浮遊懸濁物質の画像を切り取り,面積を利用することで粒子径を同定することで粒子径の分布を求めるアルゴリズムも開発した。
2.ADCPは超音波は超音波を浮遊懸濁物質に照射し,その散乱する割合を計測することで濁度を計測している。散乱する割合は懸濁物質の濃度とその粒子径が影響する。そこで,ADCPから懸濁物質の濃度を求めるため,ADCPの粒子径別の濁度応答を計測しモデル化することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍もひと段落し,対面での実験が可能となったため、概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はADCPや水中カメラ,光学式濁度計をセンサーフュージョンすることで,海水中の浮遊懸濁物質の濃度,粒子径,種類を判別するアルゴリズムの開発に資する検証用データを取得する。 一般的に海洋計測で用いられる光学式濁度計は赤外光を浮遊懸濁物質に照射し,その後方散乱する割合を計測することで濁度を計測している。後方散乱する割合は懸濁物質の濃度とその粒子径が影響することから,光学式濁度計から懸濁物質の濃度を求めるために,濁度計の粒子径別の濁度応答を計測しモデル化する。 昨年度の2つの研究成果と上記,光学式濁度計の粒子径別の濁度応答モデルを用いて構築した計測システムを本学実験フィールドである泉佐野市りんくう公園内海において検証実験を実施する。ADCPと光学式濁度計,水中カメラを設置計測するとともに検証用データとしてプランクトンネットによる採取・分析により動物・植物プランクトンの検証用データを取得する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度予定していた光学式濁度計(購入予定150万円)の粒径応答実験を今年度に実施する。よって光学式濁度計の購入が今年度にずれたため。
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