2022 Fiscal Year Research-status Report
南海トラフ地震の復興物資輸送のためのフェリー/RORO配船計画手法
Project/Area Number |
22K04570
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
松倉 洋史 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30373418)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 南海トラフ地震 / 復旧・復興物資 / 海上輸送 / フェリー/RORO船 / 配船計画 / 遺伝的アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
南海トラフ地震後の復旧・復興期では、大量の輸送需要に対しトラック輸送力の供給が極めて不足すると危惧される。本研究では南海トラフ地震のプル型輸送期以降を想定し、非被災港を中心としたフェリー/RORO等の船隊による組織化された大規模輸送の配船計画作成手法を開発する。 まず初年度計画項目である、文献調査等による基本的課題や制約条件の整理を実施したところ、復興物資輸送期にどの程度の船腹量のフェリー/RORO船を利用可能かに関する定性・定量的検討が殆ど行われていないことが明らかとなった。輸送に必要な船を確保できることは本検討の前提条件ともいえ、また将来社会実装を行う際にも基盤となるものと考え最初に上記の検討を行うこととした。 具体的には、最大級の南海トラフ地震後のプル型輸送期間から復旧復興期を想定し、フェリー、RORO船及び一般貨物船を対象に、物資輸送へ利用可能な船腹量の静的及び動的な長期評価を行った。その際、動的評価結果は発災時の船舶位置・航海状況に大きく依存することから、発災日時を基に、日本全体のAISデータ及び船舶属性情報を用いた1時間毎の評価を行った(年あたり365×24=8,760パターンを評価して統計処理)。概要評価を直近15年間、詳細評価を直近10年間行うことにより、現時点における発災後の船の輸送力及び今後の見通しを得た。解析の結果、船種に応じた対策が必要であること、船は当該期間において輸送手段として多数確保可能であり、今後とも有望であることが分かった。なお、本成果は日本船舶海洋工学会講演会で発表すると共に同学会の査読論文として出版した。 上記の後、輸送シミュレーションの実行に必要な基礎データの収集・編集を行い、また進化機構・輸送シミュレータともに基本要素を備えた機能モデルの開発を鋭意進めている。来年度には試評価を行って今後の課題を明確化し、必要な対応をすすめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献調査等を行ったところ、震災後にどの程度の船腹量のフェリー/RORO船を利用可能かに関する定性・定量的検討が殆ど行われていないことが明らかとなった。必要な船を確保できることは本検討の前提ともいえ、また将来社会実装を考える際にも基盤となるものと考え、研究の有用性を上げるべくまずは当初計画にはない上記の検討を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は進化機構・輸送シミュレータともに基本要素を備えた機能モデルの開発を鋭意進めている。来年度には試評価を行って今後の課題を明確化して必要な対応をすすめ、それが終わり次第当所研究計画に従い、詳細評価を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の有用性を上げるために当初の予定にない事前検討を加えてから配船計画システムの開発に着手した。そのため、同システムを用いた試計算が来年度に延期となった。それに伴い計算機の導入や一部のデータ収集・整理作業等も来年度実施となったことにより次年度使用額が生じた。来年度には該当予算額を当初用途に使用予定である。
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Research Products
(2 results)