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2022 Fiscal Year Research-status Report

病院の災害演習による危機意識の醸成と行動変容を促す施策の立案方法の開発

Research Project

Project/Area Number 22K04576
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

梶原 千里  静岡大学, 情報学部, 准教授 (70707835)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords危機意識 / 行動変容 / 災害演習 / 訓練評価 / 災害医療
Outline of Annual Research Achievements

災害演習によって,参加者の災害に対する危機意識を醸成し,事前対策へ取り組むように行動を変容させることが重要である.これまでの研究で,危機意識や行動が変化するまでのプロセスをメカニズムとしてモデル化し,これに基づいて,演習参加者の危機意識や行動の変容を測定する評価ツールを開発した.本研究では,この研究を発展させ,このツールで評価した結果に基づき,演習参加者に危機意識を持たせ,行動変容を起こさせる具体的な施策を立案する方法論の開発とその有効性の検証を目的とする.これにより,演習後に災害への備えを行わなければならないという気持ちを参加者に抱かせることができ,災害対応が着実に進む.
ある災害拠点病院の令和2年度の大規模災害演習後に,参加者229名に評価ツールへ回答してもらった.そこで,このデータを分析し,施策を立案する方法を検討した.回答データは,5が非常に当てはまる,1が全く当てはまらないの5段階の選択結果である.まず,危機意識と行動の変化を問う設問で,5, 4と回答した人を変化ありとし,変化のあった層となかった層に分けた.次に,層毎に各要因の設問に対する選択割合を算出し,比較することで,ア)両層に影響した要因,イ)変化のあった層のみに影響した要因,ウ)両層に影響しなかった要因を特定した.そして,演習内容と照らし合わせ,演習のどういった側面がア)~ウ)の結果を及ぼしたのかという理由を検討した.最後に,理由をもとに,ア)は継続して効果を得られる施策,イ)は変化のなかった層にも同様の効果が得られる施策,ウ)は影響を及ぼせなかった理由を改善する施策を検討した.
立案した施策の検証のため,薬剤部で施策を反映させた演習を実施した.その前後で評価ツールに回答してもらい,それを分析した結果,危機意識向上のための施策は概ね有効であったが,行動変容を促すための施策は効果が見られなかった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では,災害に対する危機意識・行動変容の評価ツールの研究を発展させ,「i) 評価ツールで評価した結果に基づき,演習参加者に危機意識を持たせ,行動変容を起こさせる具体的な施策を立案する方法論の開発」,「ii) 施策の効果確認方法を開発し,i)で立案した施策の有効性の検証」の2点を目的としている.
このうち,申請時の実施計画に記載した通り,令和4年度にi)の方法論の原案を作成することができたため,おおむね順調であると判断した.

Strategy for Future Research Activity

まず,現在までの進捗状況の理由欄で記載した,ii) 施策の効果確認方法の原案を開発する.令和4年度も演習前後に評価ツールで回答してもらったデータの比較を行ったが,それ以外に効果的なデータ分析手法がないか検討する.また,評価ツールで行動変容の意欲を示していた参加者は,実際に行動が変容しているのかを確認するため,演習後に参加者が行った災害対応データ(例えば,関係者間の協議状況,病院が企画した教育への参加状況など)を収集する.評価データと実際の行動データに相関関係があるのかを明らかにする.
また,残念ながら,令和4年度に立案したすべての施策が有効であるとの結果には至らなかった.そこで,収集したデータを分析して,その原因を検討するとともに,新たな施策を立案する.そして,その施策を反映させた演習を再度実施し,施策の効果を確認する.施策の効果を確認できたならば,令和4年度に立案したi)施策を立案する方法論の原案を改良する.

Causes of Carryover

新型コロナウィルスの影響により,成果発表を予定していた学会がオンライン開催となり,旅費が不要となったため,次年度使用額が生じた.また,令和5年度に欧州での国際学会で発表することが決まったが,最近の原油価格の高騰や円安の影響で申請時に予定していた金額よりも旅費が高くなることが予想された.そのため,令和4年度に予定した旅費を令和5年度に繰り越すことにした.
上述したように,令和5年度は対面での学会や打ち合わせが増加する見込みであるため,そのための旅費や参加費にあてる.また,演習実施の際に必要となる物品の購入や,評価データの解析を行う研究協力者への謝金に使用する.

  • Research Products

    (3 results)

All 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Evaluation of Crisis Awareness and Behavioral Changes of Medical Staff against Disasters2022

    • Author(s)
      Chisato Kajihara, Sango Makimura, Takayuki Masui, Takahiro Atsumi, Katsuya Onoki
    • Journal Title

      Total Quality Science

      Volume: Vol.8, No.1 Pages: 23-31

    • DOI

      10.17929/tqs.8.23

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 災害時の医療継続性を高めるマネジメントシステムとは2022

    • Author(s)
      梶原千里
    • Journal Title

      経営システム

      Volume: Vol.32, No.2 Pages: 120-125

  • [Presentation] 医療のための質マネジメント基礎講座における病院団体プランの新設とその効果2022

    • Author(s)
      梶原千里,佐野雅隆,金子雅明,田中宏明,棟近雅彦
    • Organizer
      第24回日本医療マネジメント学会学術集会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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