2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K04589
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
浦谷 規 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (80126268)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大災害 / コロナウィルス・パンデミック / 災害対策資金 / 災害金融問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウィルス・パンデミックは経済活動を縮小させ、資金循環が停滞した。その影響は中小企業を直撃し、その対策として政府はいわゆる”ゼロゼロ融資”によって3年間実質無利子で無担保融資さらに保証料ゼロの企業融資が行われ、その返済が2023年7月から始まっている。総額43兆円以上の融資が日本政策金融公庫と地銀および信用金庫などによって実行された。この融資スキームのストレス分析をRama Cont & Schaaning 2017 のモデルを簡素化し実行した。貸出金の焦付きが地銀の保有する有価証券の売却 Deleverging を引き起こし、その影響は証券市場の価格下落、さらなる証券の売却の連鎖が想定される。このストレス・モデルによって、2021 年の地銀データを縮約した数値に対してシミュレーションを行った。想定できるシナリオとそれから発生しうる事態に対するリスク管理対策を検討した。データは2023年第1四半期の資金循環(日本銀行)および各行別財務諸表(貸借対照表・損益計算書)2021年全国銀行協会を用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初に想定した南海トラフ地震などに対するCAT Bondの単なる仕組みとその特徴の評価だけでは不十分なことが現実に起こったパンデミック被害によって、金融および保険の機能の連鎖的影響を解明する必要が明らかになった。そこで、更に基本的な問いであるCatastrophe Risk managementとして金融保険、再保険、証券としてのCAT Bondの基本的問題を基礎とする研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
大災害の保険としてCat Bondという証券化を用いて証券市場を利用する方法と保険会社が更に保険をかける再保険市場の理論的研究を比較する。理論的には A.Subramanian et Wang J.の2018, 2015,2013年の論文を参考にしながら、我が国の大災害である阪神淡路、東日本震災、そしてコロナ災害の救済がもたらした金融債務の特性とその返済に起こりうる問題への対策を調査・研究する。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会が開催されなかったため、次年度に開催される予定である。そのための旅費に使用予定である。 2024年6月30日より7月3日までデンマーク コペンハーゲンのTechincal University(DTU)で開催されるEURO Conferenceにて研究発表を行う。
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