• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

人工経済に基づくベーシックインカムの影響分析と政策評価システムの開発

Research Project

Project/Area Number 22K04591
Research InstitutionNagaoka University

Principal Investigator

高島 幸成  長岡大学, 経済経営学部, 講師 (70743904)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 八木 勲  工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (10457145)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
KeywordsACE / Agent Based Modeling / ベーシックインカム / 労働意欲 / 景気循環 / ABM
Outline of Annual Research Achievements

本研究はベーシックインカム(BI)が経済全体に及ぼす創発影響に焦点を当て、BIによって生じる現象、及びBIに適合する社会構成を明らかにすることを目的としている。令和5年度は令和4年度に構築したモデルを用い、BIを実施した際に経済システム全体に及ぼす影響について分析を行った。本年度は①シミュレーション開始時からBIを行っていた場合の影響の分析、②経済を構成するエージェントの労働意欲決定関数の影響分析、③分析のためのAgent-based Computational Economicsモデルのひな型の公開の3点について行った。
①については、BIの実施がGDPを増加させる一方、設備投資や製品生産などの企業活動の鈍化を生じさせる傾向にあることを明らかにした。また、BIの支給額については金額を高くするほど良いわけではなく適正値が存在する可能性を示唆する結果を得た。
②については、エージェントの労働意欲を決定する関数について、所得の大小によってのみ効用を得る場合、時間と所得の2財の効用を考慮する場合、相対的な所得格差を考慮する場合のそれぞれについて、経済システムがBIに及ぼす影響を分析した。
③については、エージェントの間の関係を複式簿記の仕訳で定義するモデリング手法の実装法と実装例の公開を行った。
以上の結果は、資金がモデル内で完全に循環する構造であること、モデル内の意思決定主体の行動が他者の行動や政策によって変化しその変化がさらに他者を変化させる多層的なフィードバック構造を持っていること、及び所得に対する効用について他者との相対的な所得を考慮に入れることの3点を内包することによって生じている。そのため、BIのような社会システムを大きく変動させるような施策を行う場合には、これらの要素を内包したモデルで検討することが重要であることまでを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和4年度に作成したモデルをもとに、BIが経済システムに及ぼす影響について分析を行った。内容として、経済に及ぼすBIの基本的な影響分析については、実績概要の①及び②で実施できた。また、②は経済に及ぼす基本的な影響ではあるとともに、社会を構成する労働者の労働意欲によって、創発する結果の違いを分析することができており当初の計画に合致した結果を示すことができている。
また、実施概要の③に示す通り、政策が経済システムに及ぼす分析を行うことが可能な会計関連によるAgent-based Computational Economicsのモデリング手法を公開することができている。
以上のことから本研究はおおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

本研究はこれまでBIが経済システムに及ぼす影響について分析を行ってきたが、実験条件として、シミュレーション開始時からBIを実施している場合としていない条件としてシミュレーションを行ってきている。これに対して、現在、BIが経済システムに及ぼす影響について好景気時、あるいは不景気時にBIを始めた場合にBI未実施の条件と比較し、BIの及ぼす影響に対する景気動向の要因について分析を行っている。本研究は7月の国際学会で発表を予定している。
加えて、本年度前半を目途にこれまでの結果をもとに社会システムを構成するエージェントの性向を割合で分割し、BI実施に比較的向いている社会集団の特定を行っていくことを予定している。

Causes of Carryover

投稿を行った論文誌の査読結果などの遅れにより、掲載費などの支払いに遅れが生じている。採択された場合は年度初頭で次年度使用分については論文掲載費で使用する予定である。採択されなかった場合は、改めて別の国際論文誌への投稿を行うことを考えているため、英文校正費、投稿費に用いることを予定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] Model Building and Description Using the Agent-based Computational Economics Framework for Accounting2024

    • Author(s)
      Takashima Kosei、Yagi Isao
    • Journal Title

      Journal of Information Processing

      Volume: 32 Pages: 10~21

    • DOI

      10.2197/ipsjjip.32.10

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Multilayered Emergent Phenomena Caused by Basic Income and Labor Supply on the Wider Economic System2023

    • Author(s)
      Takashima Kosei、Yagi Isao
    • Journal Title

      Applied Sciences

      Volume: 13 Pages: 7588~7588

    • DOI

      10.3390/app13137588

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi