2023 Fiscal Year Research-status Report
原子力政策の定性的・定量的分析と科学的根拠に基づく意思決定による新たな政策
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22K04606
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
勝田 忠広 明治大学, 法学部, 専任教授 (80552463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定松 淳 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (00723876)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原子力政策 / 自然言語処理 / 福島第一原発事故 / 原子力発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年の福島第一原発事故の直接的な原因は地震による津波ではあったが、その遠因には、官僚主義的で不透明な非科学的判断による遠因があったと考えている。今年度はj事故後に経済産業省が中心となり進める第6次エネルギー基本計画の審議過程について、自然言語処理による定量的分析を行った。対象は1) 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会第31回(2020年7月)から第48回(2021年8月)、2)第6次エネルギー基本計画(案)に関するパブリックコメント(2021年9、10月)、3) 第6次エネルギー基本計画報告書(2021年10月)。 結果概要は以下の通り:1) テキストマイニングによる定量分析では、「原子力」という用語は906回であり、「再生可能エネルギー」の891回を越えており原子力に変重している。また共起ネットワークによる出現パターンの分析では炭素削減のための技術開発等の科学技術に関するパターンが浮かび上がった。2)自然言語処理の分析としてWord2Vecを用いた結果、教師なし学習のグルーピングでは、安定供給とコスト、そして脱炭素投資への期待等が中心的なグループが主であった。教師あり学習の類義語検索では、「原子力」に近い語はリプレース、依存度であった。他に単語の四則演算、K-means法によるクラスタリングを行った。一方のパブリックコメントの分析も行い比較した。 以上から、一見、定性的な読み込みでは、原子力に対する推進、批判といったものが目立つが、今回の自然言語処理による分析の結果、コストや経済といった語の多さや関連性の高さから、経済産業省が主導であることの限界が定量的に明らかになった。国民についても、単に批判的ではなく、コミュニケーションや対話を求めていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自然言語処理のプログラムについてのさらなる知見が必要。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年5月から新たに第7次エネルギー基本計画の策定会議が始まるため、過去の計画策定と合わせて比較を行い、審議過程の課題を定量的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
大学の業務増加と、初年次の新型コロナ感染症拡大による影響で計画に変更が生じた。
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