2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel high-performance fire suppressants via synthetic chemistry and fire-safety engineering approaches
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22K04614
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小柴 佑介 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 技術専門職員 (60419273)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 消火剤 / 火災 / 合成化学 / トリフルオロメチル基 / 複核化 / DOPO / 使用元素のユビキタス化 / 火災安全工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,主としてフェロセン骨格 (Fec) を有する様々な新規化合物を合成し,その燃焼抑制効果の評価およびその抑制機序の解明を行うことを最終目的とした.本研究では,次の 4 つのサブテーマを設定した (サブテーマ 1:短鎖パーフルオロアルキル基を有する新規 Fec 化合物の合成と燃焼抑制効果,サブテーマ 2:新規二核 Fec 錯体の合成と燃焼抑制効果,サブテーマ 3:DOPO 基 (9,10-dihydro-9-oxa-10-phosphaphenanthrene-10-oxide) を有する新規 Fec 化合物の合成と燃焼抑制効果,サブテーマ 4: B 火災に対する酢酸カルシウムの抑制効果). 初年度である令和 4 (2022) 年度においては,次の研究結果を得た.サブテーマ 1 では,3 つの合成ルートを探索し,最終的には Amii Trifluoromethylation 反応等を用いて Fec-CF3 を合成できた.また,TG-MS 分析を行うことで,ラジカル再結合反応において鍵となる鉄種を低温域で容易に放出できるという興味深い特性も明らかにした.サブテーマ 2 では,二核錯体である dppfMX2 (M = Zn;X = Cl, Br, I) の合成に成功し,高い燃焼抑制効果を発現することを見いだした.サブテーマ 3 では, Pudovik 反応 により Fec-DOPO を合成し,カップバーナー法を用いてその燃焼抑制効果を評価した.サブテーマ 4 では,酢酸カルシウムの微細粉末の消火性能をカップバーナー法により評価した.その結果,消火性能はその高い不活性ガス発生能に起因していることを解明できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において,実績の概要欄で述べた通りの基礎的知見を得ることができた.サブテーマ 2 に関しては得られた知見を学会で発表できた.サブテーマ 4 に関しては,学会で結果を発表するとともに,まとめた結果を学術誌に投稿することができた.以上のことから,当初の計画通りに研究を概ね進捗できたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度 (令和 5 年度) においては,当初の予定通り,サブテーマ 1 では合成した Fec-CF3 の燃焼抑制効果の評価,サブテーマ 2 では M = Zn 以外の新規二核錯体の合成および燃焼抑制効果の評価を実施する予定である.また,得られた知見をまとめ,学会発表や論文投稿を引き続き行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
進捗状況欄で述べた通り,初年度は計画通りに研究を遂行できたが,本研究課題に用いた消耗品の価格変動等により,誤差範囲ではあるが次年度使用額が生じた (3 万円弱).翌年度の物品費等にこれを充てる予定である.
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Research Products
(6 results)