2023 Fiscal Year Research-status Report
雪氷災害把握・予測のための気象レーダーと3次元風速場を用いた水平高解像積雪深推定
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22K04633
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
熊倉 俊郎 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00272865)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 雪氷災害防除 / 固体降水量 / 後方流跡線解析 / 気象レーダー / 局地数値予報 / 積雪深 |
Outline of Annual Research Achievements |
先年度に検証を行っていた冬季レーダー観測と局地気象モデル出力を用いた後方流跡線解析に基づく地上固体降水量の推定について、地上を500mメッシュで長岡市内を網羅する程度の範囲にわたって地上降水量推定を行った。2022年12月19日に起きた長岡市周辺の豪雪についてレーダー観測面5仰角について解析を行い、推定の領域内に含まれるアメダス観測点では、通常のレーダー降水量(レーダー観測面の測定結果をそのまま垂直に地表に投影する)では相関係数が0.34、RMSEが0.45だったが、仰角6度のデータを用いた後方流跡線解析では相関係数0.58、RSMEが0.37と地上降水推定の効果が大きいことが再確認された。また、通常のレーダー降水量分布と後方流跡線解析値分布を比較したところ、平地部から外れた地点で総降水量に対して1割に当たるような大きな差が見られ、本手法の必要性が示唆された。また、仰角の大きな観測の場合には後方流跡線が地表に到達するまでの時間が長くなるが、仰角3度から21.3度に至るまで相関係数が0.3-0.6程度であり、通常の垂直投影では0.2-0.3程度と比べて明らかに良い推定結果となっており、到達までの時間を逆算して予報に役立てる手法についても期待できる結果となり、今後力を入れていきたい。 また、全研究からの続きである光学式反射型固体降水観測器について、降雪粒子半径と落下速度の評価手法を抜本的に刷新しているところである。来年度の報告にはその結果を含めることができるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体降水種別の違いによる後方流跡線解析手法の改良について今年度は進捗がほとんどなかったため、力を入れていきたい。なお、光学式反射型の測定機器の開発については、来年度に大きな進捗が見られると考えられ、総合的にはおおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
後方流跡線解析については、乱流などの不確定な影響の評価がまだである。これによりどの程度の後方流跡線距離までが有効かが決まり、それによって予報時刻が規定される。加えて、固体降水粒子種別により後方流跡線解析の条件が変わるため、今年度のような雪片のみと思われる降雪時以外を適切に評価するためには、種別の評価方法の確立が必須である。この課題の進捗が良くないので力を入れたい。観測機器の開発については鋭意進行中であり、このまま続ける。
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Causes of Carryover |
先年度までに生じていた新型コロナウィルスによる外出自粛による影響が解消してないためであるが、出張等も増えていくと予想され、徐々に解消していくものと思われる。
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Research Products
(4 results)