2022 Fiscal Year Research-status Report
都市ガスのスマート保安のための車載型レーザーガス漏えい検査システムの開発
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22K04644
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
由井 四海 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10413759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 農 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40455126)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ガス漏えい検査 / レーザーガス計測 / スマート保安 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在主流のリモート型漏えい検査システムは感度が低いことから、利用する際の速度が人の歩く速さ(4km/h)に限られ、総延長26万kmの配管を検査することができない。そこで、自動車に搭載することを前提としたシステムを考える。感度の低いことが車載型の開発を阻んできたため、ここでは複合的なアプローチで高感度化を図ることを研究の目的とする。本年度は、高感度化の最初の手法として、変換効率などの光源特性に合わせて、最適な光源波長と強いガス吸収線の組み合わせを選択するための実験を行った。3.2μ帯に位置するメタンの吸収線を測定対象とするが、この波長帯には十数本の吸収線が含まれている。その中から、波長変換素子での変換効率、隣接する吸収線との干渉、レーザーの発振特性などを考慮して吸収線を選択した。最初に光源システムの構築を行い、その特性の評価を行った。光源システムはこれまでの研究で使用したものを用いており、今回は強度一定のままレーザー波長を掃引する制御方法を新たに開発した。この光源を利用し、大気圧下において燃焼(爆発)下限界以下の濃度のメタンの吸収を測定した結果、吸収波長と強度について、これまでに報告されている吸収実験やHITRANデータベースの値とのよい一致が確認された。また、これらの実験過程でガスセルにおいて生じていると考えられる干渉ノイズが見られ、システム全体での測定感度への影響について検証する必要があることがわかった。これらの実験で得られた諸条件は次年度以降に予定されている研究の基礎的なデータとして利用される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は要素技術の検討とシステムの構築を行い、都市ガスの主成分であるメタンの吸収を確認した。光源システムは波長1.5um帯および1um帯の2台の半導体レーザーで構成され、その差周波光を長さ375mmのガスセルに導入することでセル内のガスの直接吸収信号が測定できる。強度一定のままレーザー波長を掃引する制御方法を開発することで、波長3215nm-3235nmの範囲を測定できるようになった。その結果、3221nmに位置するメタンの吸収線2本と3231nmの2本の計4本の吸収線を測定することができ、HITRAN吸収データベースとのよい一致が確認された。2本の吸収線は隣接していることから条件によってはこれらが重なり合い、測定精度に影響を及ぼすことが考えられる。次に、干渉ガスと呼ばれる測定対象のメタン以外のガス種による測定への影響を調べるために、同様の手法で水蒸気の吸収線の測定を行った。その結果、同じ波長範囲に13本の吸収線が確認され、その中でも3230nmの吸収線の強度が大きく、湿度が高い季節などではその一部が3231nmのメタンの吸収線と重なり、濃度測定に影響する可能性があることがわかった。このように、研究年度計画の内容が実施され、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は多重反射セルによる高感度化と広範囲の測定の実現に関して研究を実施する。本研究では広範囲の測定が必要となるが、測定範囲と感度はトレードオフの関係であることが多い。そのため、ここでは、多重反射セルによるレーザーメッシュを構成してその効果を検証する。多重反射セルによって実効的な吸収長を長くして高感度化を図る。この時、受信光強度と機械的安定性が低下するため、外乱に強い安定した測定と高感度を両立できる条件を見出す。また、多重反射セルを自動車の周囲に取り付ける場合の課題について検討する。
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Causes of Carryover |
理由:当初購入を検討していた高速サーボコントローラの価格が為替相場の変動で大幅に上昇し今年度の購入を取りやめたため。 使用計画:価格の変動を見極めた上で購入を再検討するが、購入しない場合は次々年度の研究計画を前倒しで実施するために必要な物品、消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)