2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04646
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
櫻井 南海子 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (30435846)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 青天の霹靂 / bolt from the blue / 危険な落雷 / 3次元雷観測 / 負極性落雷 |
Outline of Annual Research Achievements |
落雷には、リーダが雷雲の雲頂や側面から飛び出して地面に到達する落雷(青天の霹靂)が存在する。雨域外に落雷する非常に危険な雷だが、雷放電経路を3次元的に捉えられないと青天の霹靂かどうかの判断が難しいため、日本国内では青天の霹靂に関する特徴の把握はまだ不十分である。本研究では、3次元的に雷放電経路を観測できる測器(LMA)を用いて青天の霹靂の実態把握を行い、さらに青天の霹靂が発生する雷雲の特徴を明らかにすることを目指している。 青天の霹靂の抽出には、以下の3つの条件を用いた。 (1)LMAデータで見て、雷雲の中層もしくは上層からリーダが進展を開始し、雷雲の外に飛び出して、その後地面に向かって進んでいる。(2)(1)に対応する落雷がフランクリン・ジャパン社の落雷解析データ(JLDN)で負極性落雷と判定される。(3)地上付近のレーダ画像から、落雷地点が雨域外に位置する。 今年度は、2020年の夏季に発生した青天の霹靂事例のうち、異なる日に発生した4つの雷雲を対象として解析を行った。抽出した雷雲は、孤立した雷雲や線上に組織化した雷雲などさまざまであり、雷雲から明確にリーダが雲外に飛び出し、雨域外に落雷した事例である。いずれも対流域からリーダの進展を開始していた。また、この対流域をマルチパラメータデータで解析したところ、リーダの進展開始付近には上昇流の存在を示唆する結果が得られ、付近では霰や氷晶などによる電荷分離が活発に起こっていた領域と推測される。青天の霹靂のリーダの進展方向には、これらの4つの雷雲からは卓越した傾向が見られず、進行方向前方、進行方向右側、および左側など様々な方向にリーダの進展が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
青天の霹靂や青天の霹靂が発生した雷雲の事例解析を行い、それらの特徴について定性的に調べた。雷雲からリーダが飛び出す雷のうち、落雷に至らない場合がある。現段階では、こういった青天の霹靂にならなかった事例の解析が未着手である。今後は、雷雲からリーダが飛び出したものの落雷に至らない事例についても解析するとともに、青天の霹靂およびその雷雲の特徴を統計的に且つ定量的に明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、青天の霹靂や青天の霹靂が発生した雷雲の事例解析を行い、それらの特徴について定性的に調べてきた。今後は、青天の霹靂の特徴を統計的に且つ定量的に明らかにすることを目指す。また、青天の霹靂を伴う雷雲の内部構造の特徴を明らかにするため、青天の霹靂を伴わなかった雷雲の内部構造や、青天の霹靂を伴う雷雲においても青天の霹靂ではない雷放電が発生している期間における雷雲の内部構造の特徴を調べ、青天の霹靂が発生する時の雷雲の内部構造との比較を進める。
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Causes of Carryover |
解析事例の選定作業に当初想定していたよりも時間を要してしまい、雷データの購入が予定より下回ってしまったため。次年度には今年度に解析する予定であった事例の抽出を早期に行い、解析を順次進める予定である。
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