2022 Fiscal Year Research-status Report
直下で発生する大地震時の堆積盆地内短周期地震動のコントロールファクターの推定
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22K04655
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重藤 迪子 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (90708463)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 短周期地震動 / 堆積平野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ネパール・カトマンズ盆地の直下,インド・ユーラシアプレート衝突帯で発生した2015年ネパール・ゴルカ地震(Mw 7.8)による,短周期地震動のコントロールファクターの推定と各影響の寄与の評価を実施する.2022年度は,強震記録,表層地質情報,物理探査情報などの基礎資料の収集および充実を図り,短周期帯域の増幅に影響する浅部地盤構造の把握を行った.微動アレイ探査および表面波探査により推定した表層地盤のS波速度構造に基づき,強震観測点における地表から深さ30 mまでの平均S波速度を求めて整理した.カトマンズ盆地は古カトマンズ湖起源の堆積物が厚く積もる地域である.盆地中部の湖成の泥質堆積物上に位置する地点では,深さ30 mまでの平均S波速度が135~220 m/s程度と遅く,河川堆積物上の観測点で250~300 m/sとなった.一方で盆地内の孤立した基盤上では600 m/sを超え,盆地境界の岩盤サイトで300~360 m/sと速くなる.これらの分布は表層地質と対応し,盆地内の孤立した基盤上の地点を除き,標高と強い正の相関を示す.さらに,中小地震の強震記録に基づき,岩盤サイトと堆積層サイトのスペクトル比から,各観測点における地盤増幅率を求めた.そのピーク周波数は,盆地中央部の堆積層厚さ600 m程度の地点で0.2 Hz程度と最も低く,堆積層サイトで0.2-0.8 Hz程度と低周波数側に分布しており,堆積層深さと強い相関を示すことを確認した.本研究成果の一部は国際誌で発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,地震動・地下構造データベースに基づき,強震観測点における浅部地盤構造モデルを構築し,地表から深さ30 mまでの平均S波速度と標高および表層地質との対応を確認できた.さらに,中小規模地震による強震観測記録に,スペクトル分離法を適用して,震源特性,伝播経路特性,サイト増幅特性を分離する準備を進めている.全体工程としてはほぼ予定通りに進んでいるため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は浅部地盤構造の構築を他地点でも継続して実施し,空間的な分布の把握を進めるとともに,強震観測点において地震記録を用いて地盤構造の同定を行う.また,インド・ユーラシアプレート衝突帯で発生した中小規模の地震を対象に短周期励起特性を把握するために,スペクトル分離手法を適用して,震源特性,伝播経路特性,地盤増幅特性を分離する.同領域における伝播経路特性および中小規模地震の短周期レベルを把握し,他領域における既往研究結果と比較する.観測点分布がカトマンズ盆地に限られるため,データの密度により安定した結果が得られない場合には,これまで得られた他の解析結果を取り込み,検討を進める.
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Causes of Carryover |
今年度の地震観測計画が変更となり,次年度の実施と支出を予定している.
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Research Products
(2 results)