2022 Fiscal Year Research-status Report
河川管理のための光ファイバ堤防越水および河川水濁度センサについての研究
Project/Area Number |
22K04660
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
木原 満 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (10804875)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光ファイバセンサ / 河川管理 / 濁度 / 浸水 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川堤防越水センサに関して、光ファイバコネクタを用いたファブリーペローセンサが有効であることを検証した。本センサは、通信用の光コネクタであるMTコネクタにスペーサを挟み、接続する光ファイバ端面間に間隙を持つ構造である。堤防越水を測定するため、大気(空気)中にある状態から水中に変化した時に、光ファイバ端面間隙にある媒質(空気から水へ)の屈折率が変化することで検知する。スペーサとして薄い金属板や紙で試みた。スペーサに紙を使用した場合、紙に導水性があるので、光ファイバ端面間隙に確実に水が浸水することを確認した。一方、スペーサに金属版を使用した場合、光ファイバ端面間隙への浸水を妨げる場合があることが分かった。しかし、金属板を用いる場合でもセンサ構造を適切に設定することで越水(浸水)測定が可能であることを確認した。 河川水濁度センサについては、市販の濁度測定装置 TSS Portableを購入し、泥水の粘土や泥の粉末(泥パック)の濃度とその泥水の濁度の関係を調査した。その結果、粘土または泥の粉末の濃度と泥水の濁度は比例関係であることを実験的に明らかにした。さらに、光ファイバ直角端面を用いて、泥水の光学特性(反射特性)を調査した。その結果、光ファイバ直角端面からの泥水の反射特性は、泥水の粘土の濃度に依存して変化することが分かった。ただし、その関係は、単純な比例関係ではなく、光ファイバの屈折率1.45の前後で変化することを確認した。さらに、泥水は濃度が均一ではなく場所によって濃淡ができてしまうため、光ファイバ直角端面で測定した反射特性の変動があることを確認した。加えて、ショ糖溶液を試料液として、マイクロファイバ(光ファイバの一部を加熱延伸して外径を細くしたもの)を用いた水溶液の屈折率測定が可能かどうか現在検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、当初の予定通り、越水センサから研究を着手した。研究した越水センサ(浸水センサ)は、光ファイバコネクタとスペーサを用いたファブリーペローセンサである。実験の結果、センサ内部の光ファイバ端面間隙にある媒質(空気から水へ)の屈折率の変化を確実に検知することができることを確認した。 また、濁度センサについても、従来技術の濁度測定装置を購入し、河川水を模擬した泥の粉末(泥パック)と粘土による泥水の濁度データを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、濁度センサの研究を重点的に実施する。前年度の研究で、従来の濁度測定装置では、粘土または泥の粉末の濃度と泥水の濁度は比例関係であることを確認した。一方、光ファイバ直角端面とマイクロファイバを用いた水溶液の光学特性は、水溶液濃度に依存して変化することが分かったが、単純な比例関係ではなく、光ファイバの屈折率1.45の前後で変化することが分かった。さらに、泥水による測定は水溶液中の濃度を均一にすることが難しく、測定データにばらつきがでてしまうという課題があった。 令和5年度は、泥水を試料液とする前に、より安定した試料液(例えば、ショ糖溶液)を用いて、光ファイバセンサと水溶液の屈折率の関係を調査する。研究する光ファイバセンサは、令和4年度に研究中のマイクロファイバと、浸水センサとして有効な光コネクタとスペーサを用いたファブリーペロー型の2種類である。それらの光ファイバセンサを用いた水溶液の屈折率測定方法を確立した後に、泥水の測定を実施し、濁度と屈折率の関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会発表がオンラインでの開催だったため旅費使用が少なかったたため。次年度は、実験用消耗品である光ファイバパッチコードや光ファイバ素線などを購入する予定である。
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