2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K04670
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松下 正史 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90432799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯久保 智 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40414594)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / LPSO / 高温高圧 / チタン合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
◇微細な二相組織を持つ合金の作製と機械特性の解明 常圧では18R-type long-period stacking-ordered structure (LPSO構造)単相をとるMg85Zn6Y9は、高圧・高温でhcp相とL21型超格子の二相共存状態へ相転移する。この高圧・高温相を急冷し常圧に取り出した試料のビッカース硬さは2.1 GPa、圧縮下での0.2%許容応力は780 MPaと極めて高い。一方、弾性率は47 GPaで処理前と大差ない。本年度は、本合金の相安定性と、その機械特性を解明すべく研究を展開した。音速測定によって得られた、弾性率は、二相の混合物と仮定した場合、その下限にあたるReuss 則を僅かに下回る。結晶粒径が小さいほど弾性率も低くなる。この結果は、粒界近辺の弾性率の影響によると考えられる。次に降伏応力を結晶粒微細化の観点から評価した。780MPaの降伏強度を示す高圧合成物は、コアに50nm程度の粒、シェルに50~200nm幅の柱状晶、その周辺に約1μm幅のラメラ組織を示す。それぞれのドメインの粒界密度から、降伏応力を推定し、それらの混合と考えると780MPaは概ね妥当な値と推呈され、結晶粒微細化強化が主たる強化機構であるとの結論に達した。 ◇高圧・高温を用いたatomic mixingによる非混和系での新規構造の探索 MgとTiは非混和な組み合わせである。この両元素を高圧・高温の液相で混和状態に近づけ、急速凝固させることによって、新物質の合成を試みた。愛媛大学での高温高圧処理実験、ならびにSPring-8のQST占有ビームラインで高温高圧その場XRDを実施した。結果として、混和されなかったが、高温高圧からの回収物をTEM、SEM、XRDで分析した結果、FCCをベースとする相が形成されることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
◇微細な二相組織を持つ合金の作製と機械特性の解明 愛媛大学の高圧合成装置を用いた合成実験、ならびに本予算で購入した機器を利用しての、機械特性評価の実施が順調に進展している。研究分担者と連携して、愛媛大学のサーバーにて第一原理計算を進めており、密接な連携のもと高圧での相分離についての理解が進んでいる。現在、一報の論文を投稿中であり、おおむね順調に進展しているといえる。 ◇高圧・高温を用いたatomic mixingによる非混和系での新規構造の探索 愛媛大学での高圧合成実験、ならびに研究代表者とQSTの共同研究を新たに展開し、新規なTiベースの相を発見した。これは、想定外の成果でもあり、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
◇微細な二相組織を持つ合金の作製と機械特性の解明 Mg-Zn-Y三元系について、従来行ってきたMg85Zn6Y9組成近傍より、さらにMgリッチコーナーでの高圧での状態図を実験、ならびに第一原理計算によって精度に明らかにしていく。過飽和度に与える圧力の影響と、LPSO形成に与える影響を調査していく。 ◇高圧・高温を用いたatomic mixingによる非混和系での新規構造の探索 研究実績ならびに進捗状況に記載の通り、Ti基の新しい相を発見した。この結果を踏まえて、Mgのみならず、Tiベースの各種合金へ研究対象を広げて高圧合成実験を推進していく。同時に第一原理計算によって発見した相の安定性についての理解を進める予定である。また、上記の新規な相について、微小領域のインデンテーション試験などを推進し、その特性についての研究も実施する。
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Causes of Carryover |
高圧実験に関連する消耗品について、一部の装置の故障の影響で年度内購入を見送ったためである。本予算は次年度、消耗品にて利用される。
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Research Products
(2 results)