2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04675
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
弓野 健太郎 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40251467)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 半導体 / 薄膜 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
フレキシブル基板上に高性能な半導体回路を形成することを目的として、これまでAu等の金属元素を触媒としたSi、Ge等の半導体薄膜の低温結晶化(金属誘起結晶化法)に関する研究が盛んに行われてきた。最近、申請者らは、STM観察、in-situのX線回折を行うことにり、AuGe系の共晶温度(361℃)を大幅に下回る低温(~170℃)において、液相のような流動性を有する準安定合金相が形成され、この相の相分離により低温結晶化が効率的に起きている可能性を指摘した。つまり、共晶温度を大幅に下回る温度において、質の高い結晶の作製に向いている融液成長のような結晶成長が実現していることが示唆される。本研究では、低温結晶化の起源を解明し、プロセスを最適化することで、低温結晶化薄膜の結晶性と半導体特性の向上を目指す。 Au層、非晶質Ge層の順に積層した二層膜を熱処理すると、二層の位置が入れ替わり、結果としてGeは結晶化する。Geの結晶薄膜は基本的には最初、非晶質Ge層の下にあるAu層を鋳型として成長し、金属層と同じ厚さの結晶Ge薄膜が得られるが、この膜上に二層目が部分的に形成され、表面粗さを大きくすることが知られている。2022年度はAuを用いたGe薄膜の金属誘起結晶化過程において、アニール時の昇温速度が結晶成長に与える影響について詳細に調べ、二層目は一層目に比べてやや高温で成長が始まることを見出した。この知見に基づいて、一層目と二層目の成長温度の中間に位置する170℃の温度で熱処理をすると実際に、二層目の形成はわずかしか認められず、極めて平坦性に優れたGeの結晶薄膜が形成されることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は結晶化のための熱処理をする際の昇温速度が重要なパラメータであることを見出し、ナノメートルレベルで平坦なGe結晶薄膜を実現することに成功したことから、おおむね、順当に進展していると考えている。今後さらに、Ge薄膜の結晶粒サイズを増大させることで結晶性の向上を図り、実験とともにシミュレーションも併用することで結晶化機構を明らかにできればと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ホール移動度に関しても、100cm2/Vsを超えるものが得られているが、依然として結晶粒のサイズが小さく、これを大きくすることができれば結晶粒界におけるキャリアの散乱を減らし、さらに移動度を向上させることができると考えている。結晶Geは金属層内で核生成し、成長をするため、金属層の結晶組織がその成長に大きく影響すると考えられる。そこで、今年度は熱処理等による金属層の組織制御を試み、Geの結晶化への影響について調べることを目的とする。また、フェーズフィールド法によるシミュレーションを試み、金属触媒による結晶化機構の解明を試みる。
|
Causes of Carryover |
想定よりも、実験結果の解析に使う時間の割合が多くなったため、次年度使用額が生じた。次年度は主として、実験に必要な物品費として使用する予定である。
|