2022 Fiscal Year Research-status Report
協奏的マルチプローブ分光による不純物共賦活シンチレータの特性改善の学理究明
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22K04681
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
北浦 守 山形大学, 理学部, 教授 (60300571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 圭 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60639649)
小玉 翔平 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30910096)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シンチレータ / ドーパント / 陽電子消滅分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はGd2SiO5:Ce,Zr結晶のセリウム-L吸収端およびが取りニウム-L吸収端X線吸収端近傍構造(XANES)実験および広域X線吸収微細構造(EXAFS実験)とガンマ線誘起陽電子消滅分光(GiPALS)実験を行った。XAFS実験では、ジルコニウム添加によってセリウムの3+/4+の含有比が変化することは見られなかった。この結果はジルコニウムの添加がセリウムの価数に影響を及ぼさないことを示す。GiPALS実験では、ジルコニウム有無によるGiPALSスペクトルの違いは見られなかった。Gd2SiO5:Ce結晶には潜在的に空孔型欠陥が存在しており、その量がジルコニウムの有無によって変化しないことを示す。先行研究では、ジルコニウムが電荷補償体として働き、母体欠陥が抑えられるため、3価セリウムイオンの発光が増加すると考えられていた。本研究で得られた結果を考慮すると、ジルコニウムが電荷補償体として働くとは考えにくいとの結論に至った。一方、可視紫外分光実験では、先行研究で報告されているように、Zr添加で発光強度が増加することが確認された。可視光領域での透過率の測定からはジルコニウム添加で透過率が上昇しており、発光増大現象が母体結晶の透過率上昇によってもたらされることを示す。おそらく結晶に含まれるマイクロボイドなど光散乱因子がジルコニウム添加で抑えられると考えられる。原料融液の化学特性がジルコニウム添加によって変化したと考えられるかどうか、その点を今後明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していた実験はすべて行うことができたので、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度中に予定していたGd2SiO5:,Zrの実験と解析を終えることができた。その成果を論文としてまとめるべく準備を進めている。2023年にはCs2HfCl6:Ce,Zrの実験に取り組む予定であり、その試料準備と化学分析を分担研究者に行っていただいている最中である。この物質においてZr添加効果をXAFSとGiPALSの両面から解き明かしたい。
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Causes of Carryover |
2022年度は保有する原料や坩堝を活用して晶育成を行った。結晶育成に用いるイリジウム製の坩堝は使用するたびに損耗するため、損耗した後に改鋳を行わなければならない。イリジウムの価格高騰から改鋳費が値上がりしてますます高価になっており、次年度分と合わせてイリジウム坩堝の改鋳や原材料の購入に充当する。
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