2023 Fiscal Year Research-status Report
Control of interface shape during the growth of transparent crystals by infrared convergent heating floating zone method and of the defects of the grown crystals
Project/Area Number |
22K04696
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
綿打 敏司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30293442)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 単結晶育成 / 酸化物 / 浮遊帯溶融法 / 固液界面形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学式加熱浮遊帯溶融法による透明酸化物結晶の高品質化に関わる研究を行ってきた.透明酸化物結晶育成時に見られる凹型の育成結晶と溶融帯との界面形状が育成結晶の結晶欠陥の要因となっていると推定し,その形状制御を集中加熱に用いる回転楕円面鏡の下方傾斜に行うことを目的に集中加熱炉の改造を実施した. 当初研究対象として挙げた2種類の透明酸化物Ca12Al14O33(以下C12A7)とLu3Al5O12(以下LuAG)のうち,C12A7について結晶育成に必要な溶融帯形成条件を最適化した.C12A7は,結晶育成時の融液と育成結晶との界面形状が凹型を呈し,それによって気泡が残存したり,クラックが生じたりすることが問題であった.R4年度の研究で,原料棒の配置を工夫することで溶融帯中に生じる気泡を低減し,溶融帯を安定化させることができた.そのような原料棒の配置により,下方傾斜効果を再現性良く調べることが可能になり,通常の集中加熱条件では凹型となる溶融帯と育成結晶との界面形状が下方傾斜角度の変化に伴って系統的に凹型から凸型に変化することを明らかにした. R5年度は,界面を凸型に制御した条件でのC12A7結晶の育成を行った.原料径や育成速度を変化させた結果,透明なバルク体を作製するのに成功した.しかし,透明なバルク体は単一のドメインとはなっておらず,複数の結晶粒から構成されていることがわかった.透明なバルク体となる条件での成長界面を調べるとわずかな凹型をしていることがわかった.つまり,クラックや気泡により不透明となるような条件では凸型の界面で,その界面から成長する結晶は透明であるものの,透明なバルク体ができ始めると界面形状は凹型に変化し,単結晶化しないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C12A7の育成において,原料棒配置の工夫と下方傾斜により,溶融帯の安定化と達成できたが,単一ドメイン化するには更なる工夫が必要であるとわかった.一方,LuAGにおいては単一ドメイン化は達成されているが,溶融帯の安定保持とクラック低減が課題である.そのため,C12A7で明らかにした原料棒配置の工夫による溶融帯安定化技術をLuAGに適用すれば,LuAGの高品質化を期待できる.C12A7の単一ドメイン化については集中加熱条件の工夫により,達成できると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
C12A7の結晶育成で見出した原料棒配置の工夫による溶融帯安定化法をLuAGに適用し,類似の効果が得られるかを検証することで,透明酸化物単結晶の高品質化を進める.C12A7の単一ドメイン化に関しては,回転楕円面鏡の集光位置や結晶育成速度の工夫により,その改善を図る.
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Causes of Carryover |
2つの対象物質の内,C12A7に注力する必要が生じたこととLuAGの結晶育成を進めるにあたって研究費を集約させる必要が生じたため,R6年度は集約させた研究費を用いてLuAGの高品質化を推進していく計画である.
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