2022 Fiscal Year Research-status Report
結合状態操作とドーピングによる局在電子状態を制御した高活性炭素触媒の創製
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22K04705
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 宏之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員 (90637886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 祐治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (10323635)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 電極触媒 / 炭素触媒 / 荷電粒子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、最近発見されたクエンチングカーボン(Qカーボン)のsp3結合ネットワーク内の孤立したsp2結合による局在電子状態が触媒活性に機能しうる可能性に注目し、量子ビーム照射による局所的なQカーボンの結合状態操作を用いた局在電子を有する炭素数の大幅な増加とキャリヤドーピングを用いた触媒活性に最適なエネルギー準位への制御によって新たな非Pt触媒の創製を目的にしている。 本年度は、BドープQカーボン作製に向けて、BドープQカーボン作製プロセスを探索するために、レーザーを用いたPLD法で作製された前駆体であるDLC薄膜のsp2/sp3結合比を制御する作製条件を見出すために、XPS測定によってDLC薄膜のC 1sスペクトルを観測し、sp2/sp3結合比がDLC薄膜を堆積する際のレーザー出力や膜厚との相関を導出した。レーザー出力や膜厚を調整することでsp2/sp3結合比を制御する方法を見出せた。さらに、C 1sスペクトルの深さ依存性も観測し、前駆体薄膜の均一性やsp2/sp3結合比が表面や基板界面付近でどのように変化しているのかも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要なBドープQカーボンを作製する条件に必要な前駆体のsp2/sp3結合比を制御する方法を見出せたため、BドープQカーボン作製は進められている。BドープQカーボンを炭素触媒にするための有用な成果であり、研究はおおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
前駆体の作製条件は見出しつつあるため、前駆体をBドープQカーボンにするためのレーザー加熱の条件を探索していく。レーザー加熱による加熱と急冷した試料のC 1sスペクトルのレーザー出力依存性を測定していく。これによりレーザー加熱した試料のsp2/sp3結合比を観測し、BドープQカーボンが作製できたのかを判断する。加えて、Qカーボンは他の炭素材料と異なり、特異な磁気特性を有しているため、磁気特性からもQカーボンが作製できているのかを確認することも考えている。これらから作製したBドープQカーボンの触媒性能を電気化学測定によって観測する。
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Causes of Carryover |
実験に使用するレーザー装置の消耗品がロシアとウクライナとの戦争の影響により入手できず、計画を次年度に延期した。そのため次年度使用額が生じたが、次年度はその消耗品の購入に充てる予定である。
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