2022 Fiscal Year Research-status Report
セルロースナノファイバーによる植物由来ポリウレタン発泡体の流動性・発泡性制御
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22K04722
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
森長 久豊 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20396584)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バイオベースポリウレタン / リモネン / 発泡体 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究目的は、柑橘類精油由来ポリオールを用いたバイオベースポリウレタン発泡体の合成である。ポリオールはリモネングリコールと多価チオールのチオール・エン反応によって得ており、そのジイソシアネートとの反応で対応するポリウレタンネットワークを得ることに成功した。 上記の知見に基づき、リモネングリコール由来ポリオールを用いてバイオベースポリウレタン発泡体を合成することを試みた。すなわち、ポリオールとジイソシアネートの原料混合物に、発泡剤として水を加えて発泡体を合成した。リモネングリコール由来ポリオールのみを原料として用いると、発泡体の形成に限界があった。そこで、リモネングリコール由来ポリオールにポリプロピレングリコールを混合することで、発泡体の形成を促した。ポリプロピレングリコールは、ポリウレタン発泡体の原料として従来から良く用いられるものである。その結果、リモネングリコール由来ポリオール10%、ポリプロピレングリコール90%の組成にすると、比較的均一な発泡径を有する発泡体を得た。発泡体の5%重量減少温度は234℃であり、引張強度は0.12MPaであった。比較系として得たポリプロピレングリコール100%の発泡体では、5%重量減少温度は218℃であり、引張強度は0.03MPaであった。両系において発泡径に大きな違いはなかったものの、リモネングリコール由来ポリオールを用いると、発泡体の耐熱性と機械的強度が向上したことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定にあるリモネングリコールを原料としたバイオベースポリウレタン発泡体の合成は達成している。しかしながら、バイオベースポリオールの使用割合が少ないことから、「やや遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、現在得られているリモネングリコールを原料としたバイオベースポリウレタン発泡体において、セルロースナノファイバーの形状が及ぼす発泡体形成時の流動性や発泡性への影響について検討を行う。 しかしながら、ポリオールの組成としてポリプロピレングリコールを高い割合で混合しないと均一な発泡径を有する発泡体を合成できておらず、発泡体のバイオマス度を上げることが課題となっている。そのため、他のバイオベースポリオールを原料としたバイオベースポリウレタン発泡体の合成検討も同時に行っていく。
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Causes of Carryover |
機器購入で若干の残金が発生したので、翌年度の消耗物品の購入に使用する予定である。
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